伊藤忠商事、ファミリーマート、NTTドコモ、サイバーエージェントの4社が設立した新会社データ・ワン(東京・渋谷)が、2020年12月から本格的に始動する。社長には、伊藤忠インタラクティブ(東京・港)前社長の太田英利氏が就任。ファミリーマートの購買データなどを分析し、ユーザーに合わせたターゲティング広告を配信する事業からまず手掛け、5年後に売り上げ100億円を目指す。そんな新会社の狙いや今後の方向性を追った。

新会社データ・ワンのロゴ。20年12月上旬に出来上がったばかり(出所/データ・ワン)
新会社データ・ワンのロゴ。20年12月上旬に出来上がったばかり(出所/データ・ワン)
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 「新会社では、Webの世界では当たり前のことを、リアルの世界で、かつオープンにやっていきたい」。1994年に伊藤忠商事に入社したときから、ネットとリアルをつないでビジネスにする領域を一貫して歩み続け、今回、新会社の社長に就いた太田英利氏は、新会社データ・ワンの目指すところを力強くこう語った。

データ・ワン初代社長に就いた太田英利氏。出身の伊藤忠商事やファミリーマートの関連会社、トヨタ自動車といった出向先で、ネットとリアルをつないでビジネスにする領域を一貫して歩んできた
データ・ワン初代社長に就いた太田英利氏。出身の伊藤忠商事やファミリーマートの関連会社、トヨタ自動車といった出向先で、ネットとリアルをつないでビジネスにする領域を一貫して歩んできた
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 Webの世界では、デジタル広告を誰に配信すべきか、配信した広告に接したユーザーがどのように行動したか、例えばECサイトを訪れて広告で扱った商品を実際に購買したかどうかなどを、データで把握するのは難しくない。そしてデータに基づき、次の広告の配信を調整し、ユーザーの行動を変えるように努めている。しかし、リアルの世界では、データに基づく広告の配信や効果測定はほとんどできていないのが実情だ。

 データ・ワンではまず、ファミリーマートが保有する「延べ50億人分の購買データ」(太田氏)と、NTTドコモが保有するdポイントクラブの約7800万人に達する会員データや属性情報を、最新テクノロジーを使って突き合わせ、統合していく。データが完全にそろわない部分については、専用エンジンによって“類推”し、突合する。ユーザー個人を特定するのではなく、ユーザーが利用するスマートフォンに独自のユニークIDを振っていくイメージだ。

 そうしてスマホの持ち主の好みに合うようにターゲティングされたデジタル広告を、それぞれのスマートフォン向けに配信。その後、実際に商品を購買したかどうかを最新の購買データで確認し、効果を検証し、次回の広告配信にフィードバックしていく考えだ。主要な広告主としては、ファミリーマートなどの小売店で自社の飲料や食品、日用品などを販売している消費財メーカーを中心に、確実に集客したい小売店なども想定しているという。

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