Voicy(ボイシー、東京・渋谷)は2020年12月3日、同社の音声メディアプラットフォーム「Voicy」で、音声番組の再生数に応じて収益が得られる新プログラムを2021年より開始すると発表した。“ながら聴き”ができる音声メディアがコロナ禍で成長する中、プラットフォームとしての競争力を高める狙いだ。
Voicyは個人や企業が音声番組を配信できるプラットフォーム。著名人や専門家など個人による音声番組だけでなく、日本経済新聞の「ながら日経」など企業やメディアによる音声番組も発信されており、声のSNSや声のブログと表現されることもある。声による社内報やオウンドメディア、マーケティング活動などビジネス向け事業も行っている。
これまで配信者が収益を得る仕組みには、リスナーからの月額課金、企業からのスポンサー料の2つがあった。今回は第3の仕組みとして再生数に応じた収益化プログラムを用意した。ただし、1再生当たりの単価や、そもそも“原資”は広告料なのかといった詳細は、21年に入ったら改めて発表すると明言しなかった。開始時期についても2021年中とした。「(新プログラムの)実施に向け、システムや設計を含めて良い形になるよう調整している」(Voicy広報)とのことだ。
Voicyの緒方憲太郎社長は「リスナーの熱量をマネタイズするという、より多くの人たちが声で稼げる仕組みを取り入れた。これでVoicyは名実ともに国内最大級の音声メディアプラットフォームになる」と意気込んだ。また、所有する商標「ボイスメディア」をオープン化して、自由に利用できるようにすることも発表。音声メディア業界全体を盛り上げる。
現在、Voicyには500以上の音声番組がある。音声番組の強みは、目で見る動画やテキストなどに比べて、情報を取り入れながら家事や運動など別の作業をする“ながら聴き”ができることだ。忙しくて画面を見ている時間がないときや、目が疲れているときなどにちょうどいいのだ。
米国では音声番組のリスナーが増えており、20年は総人口の58%が毎月なんらかの音声番組を聴くと予想されている。背景にはスマートスピーカーやワイヤレスイヤホンといった、聴くためのデバイスの普及がある。日本でも音声メディアは伸びており、Voicyで音声番組を毎週聴いているリスナーは、ここ1年間で4倍に増加したという。
企業にとっては、人気の音声番組をスポンサーとして支援することでファンづくりにもつながる。Voicyの調査によると、動画広告などは何度も目につくことで嫌われたりスキップされたりするが、企業が音声でメッセージを発信する場合は、長く続けるほどリスナーの理解度・好感度が上昇するという。
(出所/Voicy事業戦略オンライン発表会)