今なお高い人気を誇るアニメ「機動戦士ガンダム」の40周年を記念するプロジェクトとして開発されていた「動くガンダム」がついに完成。横浜・山下ふ頭内にオープンした「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で2020年12月19日から一般公開する。先だって行われたメディア内覧会に参加した。

2020年12月19日から一般公開が始まる“動くガンダム”「RX-78 F00」
2020年12月19日から一般公開が始まる“動くガンダム”「RX-78 F00」

 氷川丸や横浜マリンタワーの目の前、山下ふ頭の一画に新たな施設が誕生する。“動くガンダム”を目玉としたテーマパーク「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」だ。

 今までも作中設定と同じ高さ18メートルの“実物大ガンダム”は作られてきた。2009年には「機動戦士ガンダム」30周年を記念して制作された「RX-78-2 ガンダム Ver.G30th」がお台場の潮風公園で公開された。10年には「模型の世界首都 静岡ホビーフェア」の目玉として、右手にビームサーベルを持った姿でJR東静岡駅前にお目見え。さらに12~17年に東京・お台場のダイバーシティ東京で「RX-78-2 ガンダム Ver.GFT」が展示された。

 GUNDAM FACTORY YOKOHAMAに展示されたガンダムがこれらと一線を画すのは「動く」こと。本体重量25トンにもおよぶガンダムの手、足、腰、首、指といった全身の関節が動く。物語の世界で起きた「一年戦争」後に横浜・山下ふ頭近辺で発見されたパーツを、検証のために再構築したという設定で、機体番号は「RX-78 F00」とされている。ガンダムが動く際の演出が、その設定に沿った「起動実験」という形になっているのも見どころだ。

 また、地面の高さから見上げるだけでなく、特別観覧スペース「GUNDAM-DOCK TOWER」に昇って間近でガンダムを見ることもできる。エレベーターで頭部の高さまで上がるとその大きさをより実感できた。

ガンダムが動く「起動実験」の一部。全身の24ものパーツに加え、両手の指まで稼働する。内覧会では起動・発進から格納まで10分強あったが、一般公開では違う演出になるうえ、シーズンによって特別演出の実施も予定されているという

2014年からプロジェクトチームが活動

 実現にあたっては14年に「Gundam Global Challenge」(GGC)という企業横断型プロジェクトチームを結成。アニメ「機動戦士ガンダム」の原作者・富野由悠季氏ら5人で構成される「GGC LEADERS」が理念をまとめ、実行チームである「GGC DIRECTOR」の3人が設計・制作を主導した。

 19年3月にはバンダイナムコホールディングスのグループ会社として、同プロジェクトを実現するための会社、Evolving Gを設立。GUNDAM FACTORY YOKOHAMAの運営も担う。

 注目はGGC DIRECTORの顔ぶれだ。GGCテクニカルディレクターの石井啓範氏は、ヒューマノイド研究などで知られる早稲田大学・高西研究室の出身で、日立建機に入社後、2本の腕を持つ建機「ASTACO(アスタコ)」を開発。18年にGGCに参加した。

 GGCシステムディレクターの吉崎航氏は、全高約4メートルの乗用人型変形ロボット「J-deite RIDE」にも使われたアスラテック(東京・千代田)のロボット制御システム「V-Sido」の開発者として知られている。

 GGCクリエイティブディレクターの川原正毅氏は、前述のRX-78-2 ガンダム Ver.G30thプロジェクトにも参加したメンバーで、今回も演出面などを担当。上野の森美術館で14年に開催された「進撃の巨人展」会場内の“等身大”「超大型巨人」や、兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」内の世界最大・実物大ゴジラを手がけた乃村工藝社のスタッフである。川原氏によると、「動くガンダム」を見たいという一般からの声はRX-78-2 ガンダム Ver.G30th展示当時から上がっていたそうで、「10年分の宿題をやっと果たせた」と満足げに語った。

GGC DIRECTORの3人。左からGGCテクニカルディレクターの石井啓範氏、GGCシステムディレクターの吉崎航氏(アスラテック)、GGCクリエイティブディレクターの川原正毅氏(乃村工藝社)
GGC DIRECTORの3人。左からGGCテクニカルディレクターの石井啓範氏、GGCシステムディレクターの吉崎航氏(アスラテック)、GGCクリエイティブディレクターの川原正毅氏(乃村工藝社)
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」の営業時間は午前10時~午後9時(午後8時最終入場)。筆者が参加した内覧会は午後4時の回だったため、日暮れどきから夜にかけて、光の加減でドラマチックに表情を変えていくガンダムを堪能できた
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」の営業時間は午前10時~午後9時(午後8時最終入場)。筆者が参加した内覧会は午後4時の回だったため、日暮れどきから夜にかけて、光の加減でドラマチックに表情を変えていくガンダムを堪能できた
■変更履歴
石井啓範氏のご経歴に一部間違いがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2020/12/9 12:00]

オリジナルのガンプラなども販売

 GUNDAM FACTORY YOKOHAMAには、動くガンダムが置かれたGUNDAM-DOCK以外にもファンが楽しめる施設がいくつも用意されている。

 まずは「エントランス」。ここでは何枚もの写真パネルで動くガンダムが完成するまでの流れを追うことができる。また、「アカデミー」では開発のプロセスや関わっているスタッフのコメント、使われている技術を紹介。ソフトバンクが提供する5G技術のデモを兼ねたAR体験コーナー「GUNDAM Pilot View of SoftBank 5G EXPERIENCE」も用意していた。

アカデミーでは「動くガンダム」の開発過程が使用されている技術なども含めて詳しく解説されている
アカデミーでは「動くガンダム」の開発過程が使用されている技術なども含めて詳しく解説されている
ガンダムに乗り込み、コックピットからの視点をシミュレートするAR体験コーナー「GUNDAM Pilot View of SoftBank 5G EXPERIENCE」はかなりの人気を呼びそうだ
ガンダムに乗り込み、コックピットからの視点をシミュレートするAR体験コーナー「GUNDAM Pilot View of SoftBank 5G EXPERIENCE」はかなりの人気を呼びそうだ

 「ガンダムベース ヨコハマサテライト」は、GUNDAM FACTORY YOKOHAMAの公式ショップ。オリジナルのガンプラを中心に、横浜の老舗菓子メーカーとのコラボ商品、オリジナルのステーショナリーなど、さまざまな公式グッズを購入できる。

 「ガンダムカフェ ヨコハマサテライト」では、食肉総合卸である尾島商店の人気ハンバーガーをアレンジしたチーズバーガーや、ホテルニューグランドが手がけたチキンカレー、明治27年創業という横浜中華街の有名店「江戸清」の中華まんなど、地元横浜の老舗企業とコラボしたメニューを含め、ここでしか味わえないオリジナルメニューを提供している。

ガンプラを中心に、ステーショナリーからお土産にぴったりなお菓子まで売っているガンダムベース ヨコハマサテライト。なかでも売れそうだと思ったのは「1/144 RX-78F00 ガンダム&ガンダムドック」。今どきのガンプラらしく多彩なポージングが可能なガンダムとドックのセット商品だ
ガンプラを中心に、ステーショナリーからお土産にぴったりなお菓子まで売っているガンダムベース ヨコハマサテライト。なかでも売れそうだと思ったのは「1/144 RX-78F00 ガンダム&ガンダムドック」。今どきのガンプラらしく多彩なポージングが可能なガンダムとドックのセット商品だ
ご当地グルメとのコラボメニューなど、食事も楽しめる「ガンダムカフェ ヨコハマサテライト」。劇中に登場するロボット「ハロ」をかたどったポップコーンケースは人気を集めそう(税込み2640円)
ご当地グルメとのコラボメニューなど、食事も楽しめる「ガンダムカフェ ヨコハマサテライト」。劇中に登場するロボット「ハロ」をかたどったポップコーンケースは人気を集めそう(税込み2640円)

 GUNDAM FACTORY YOKOHAMAは20年12月19日~22年3月31日までの限定開催で、営業時間は午前10時~午後9時。入場料金は13歳以上が1650円、7歳以上12歳以下が1100円(税込み)。

 さらにGUNDAM-DOCK TOWERに上るには、公式ウェブサイトか専用アプリから予約の上、入場料金とは別に7歳以上3300円(税込み)の閲覧料金が必要だ。現時点で21年1月分まで購入が可能だが、12月分は既に完売、1月分も週末はほぼ完売となっている。行くなら平日が狙い目だろう。

GUNDAM-DOCK TOWERへ昇る待ち時間に撮影した、ガンダムの足首。腰で支えられている25トンのガンダムは、地上から少し浮き、足裏と地面の間に空間があるのが分かる
GUNDAM-DOCK TOWERへ昇る待ち時間に撮影した、ガンダムの足首。腰で支えられている25トンのガンダムは、地上から少し浮き、足裏と地面の間に空間があるのが分かる
別途観覧料金はかかるが、GUNDAM-DOCK TOWERへ昇ると頭部を間近で見ることができる。栃木県下都賀郡壬生町のおもちゃのまちバンダイミュージアムにも原寸大のガンダムの上半身があり、間近に見られるが、全身があり、さらには「動く」ことから来るリアリティーには格段の違いがある。頭部から見た横浜の景色も一見の価値あり
別途観覧料金はかかるが、GUNDAM-DOCK TOWERへ昇ると頭部を間近で見ることができる。栃木県下都賀郡壬生町のおもちゃのまちバンダイミュージアムにも原寸大のガンダムの上半身があり、間近に見られるが、全身があり、さらには「動く」ことから来るリアリティーには格段の違いがある。頭部から見た横浜の景色も一見の価値あり
(C)創通・サンライズ

(写真/稲垣宗彦)

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