2020年も、企業に対して一般ネットユーザーからの批判が集中する「炎上」が頻発した。12月2日公開「炎上した企業アカウントはいつどうやって再開させたらよいか?」に続く後編として、20年の炎上事例から得られる3つの教訓を提示する。

2020年の炎上事例から教訓を3つ(写真/Shutterstock)
2020年の炎上事例から教訓を3つ(写真/Shutterstock)

【教訓1】「以前はセーフだったのに…」は通用しない

 2020年12月2日に公開した「炎上した企業アカウントはいつどうやって再開させたらよいか?」で、タカラトミーとアツギの公式Twitterアカウント炎上について取り上げた。

 両社に共通するのは、「中の人」は問題となった投稿を「批判は覚悟」「炎上上等」の炎上マーケティング狙いで投稿したわけではないということ。当人としては、「この程度で炎上するの?」というのが炎上した瞬間の感覚だっただろう。なぜなら、同様の悪ノリ投稿は以前にもしていて、そのときは問題視されなかったためだ。特に批判もなく常連フォロワーからの「いいね!」が付けば、「このくらいのおふざけはセーフ」という基準となり、「面白いアカウントとして認知、期待されている」という自信になって、投稿をエスカレートさせる要因になる。

 過去の同様の投稿が炎上しなかったのは「ぎりぎりセーフな内容だったから」ではなく、たまたま問題視する人の目に触れなかった、あるいは目に触れてSNSで言及しても拡散しなかっただけとも考えられる。

 実際、銀座の着物店が16年に制作した広告キャッチコピー「ハーフの子を産みたい方に」「ナンパしてくる人は減る。ナンパしてくる人の年収は上がる」が、3年経過した19年になって炎上したことがある。「見た目かわいいハーフの子、欲しいでしょ? 着物を着れば外国人男性の目を引けるよ」という安易な決めつけが顧客層の女性を見下しているように受け止められて反感を買った。こうした見つかっていないだけの“不発弾”がまだ多数存在していると思われる。

 この着物の広告は、東京コピーライターズクラブ新人賞に入選した作品でもあった。16年当時は現在ほどにはジェンダーの意識が高まっておらず、時間の経過によって、「今改めて見ると不適切な広告」に見えてしまうこともある。ジェンダー規範は年々厳しい方向へ変化しているため、以前はスルーされていた企画が今の価値観でアウトになるケースが多発しそうだ。

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