大阪市の繁華街・ミナミに「心斎橋パルコ」が2020年11月20日、約9年ぶりに復活した。19年9月に閉館した大丸心斎橋店北館をリノベーションし、ファッションビルの枠を超えた複合ビルに生まれ変わった。ファッションからアート、アニメ、食、インテリアまで170店舗が出店。新生渋谷パルコの成功モデルに加え、百貨店との相互補完により30~40代の新たな客層を狙う。
館内を彩るさまざまなアート作品
心斎橋パルコは地下2階~地上14階の16フロアで延べ床面積は5万8000平方メートル。米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けた歴史的な外観が印象的な大丸心斎橋店とは対照的に、ドレープ(ひだ)のデザインを用いた近代的な外壁が、パルコの先進性や未来志向を感じさせる(関連記事:ポケモンも海洋堂も取り込む大丸心斎橋店 百貨店の復活なるか)。
館内を回ると目に付くのが、さまざまなアート作品の数々だ。12階吹き抜けに設置された滝のオブジェの前には、ソニーの初代AIBOのデザインを手掛けた空山基氏の巨大「セクシーロボット」が期間限定で展示されている。セクシーロボットは、2階の「2G OSAKA(ツージーオオサカ)」と現代アートギャラリー「NANZUKA(ナンズカ)」による展覧会でも見ることができ、サブカルファンがこぞって訪れる人気のスポットとなっている。
14階と地下1階の吹き抜けには、渋谷パルコでも人気のあるAR(拡張現実)を活用したバーチャルインスタレーションアートを展示。最新のテクノロジーによるアートを体験できる。さらに13階レストランフロア(2021年1月オープン)には、旧ビル時代から継承された村野藤吾氏設計のモザイクタイルアートと旧渋谷パルコのネオンサインが並んで飾られ、新旧アートの対比が楽しめる。9階には大阪出身のイラストレーター、黒田征太郎氏が32年前にパルコのイベントのために描いたポスターが約40点。アートとカルチャーを楽しめる常設の施設が少ない大阪にあって、その発信拠点としての機能が充実しているのが心斎橋パルコの大きな特徴だ。
「館内各所にパブリックアートが配置されていて、各フロアにも楽しんでもらえる仕掛けがある。デジタルの時代にあえて心斎橋パルコに行きたいと思ってもらえる要素をいかにつくれるか。渋谷パルコの開業から1年で学んだことをプラスした」と、パルコの牧山浩三社長は話す。
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