日本デザイン振興会は2020年10月30日、2020年度グッドデザイン大賞を選出した。大賞に輝いたのは、ベンチャー企業のWOTA(ウォータ、東京・文京)が開発した世界初のポータブル型水循環システム「WOTA BOX」だ。

2020年度グッドデザイン大賞を受賞した自律分散型水循環システム「WOTA BOX」。16年の熊本地震の避難所に試作機を提供し、19年11月から販売を開始した。写真はWOTA BOXと、屋外で使用できるテント式のシャワーブースなどがセットになった屋外シャワーキット。配管工事は不要で、電源が確保できれば15分ほどで設置可能。100リットルの水で、約100回のシャワーによる入浴ができるという
2020年度グッドデザイン大賞を受賞した自律分散型水循環システム「WOTA BOX」。16年の熊本地震の避難所に試作機を提供し、19年11月から販売を開始した。写真はWOTA BOXと、屋外で使用できるテント式のシャワーブースなどがセットになった屋外シャワーキット。配管工事は不要で、電源が確保できれば15分ほどで設置可能。100リットルの水で、約100回のシャワーによる入浴ができるという

 今回、最終プレゼンと発表会の模様はオンラインで配信し、大賞のほか、19の企業・団体にグッドデザイン金賞、12の企業・団体にグッドフォーカス賞を授与した。応募総数は4769件で、19年とほぼ同数。新型コロナウイルス感染症の流行による応募数の減少はなかったという。

 グッドデザイン大賞を受賞したWOTA BOXは、その場で使用した水の98%以上を再生する循環型のシステム。上下水道がつながっていなくても水を使うことができ、災害時の避難所をはじめ、スポーツイベントやレジャー施設などでの利用を想定している。拡張性の高さが特徴の一つで、シャワーや手洗いをはじめ、さまざまな水回りの設備に接続できる。給湯器やシャワーブース、脱衣所をセットにした「屋外シャワーキット」も販売。WOTA BOXと屋外シャワーキットとのセット価格は、498万円(税別)。これまで自然災害時に、20カ所以上の避難所で2万人以上が利用したという。

 WOTAの前田瑶介代表は「22世紀に向けて持続可能な社会に必要なのは、ライフラインの民主化。まだ実現できていなかった水に着目し、小さくて民主的な水のインフラを目指した。WOTA BOXは『自律分散型水循環システム』と定義している。今までの大規模な水処理場の50万分の1ほどのサイズにして、持ち運びできるようにした」と話す。

 一般的な水処理は高度な技術を要し、職人の経験則に基づいて制御する世界なのだという。それを独自に開発した水質センサーとAI(人工知能)技術で、自動化することに成功。「これまでの100分の1程度の価格で実現できる安価なセンサーを独自に開発した」(前田代表)。

オンラインで配信された授賞式の模様。左より2020年度グッドデザイン賞・審査副委員長の齋藤精一氏、大賞を受賞したWOTAの前田瑶介代表、同・審査委員長の安次富隆氏
オンラインで配信された授賞式の模様。左より2020年度グッドデザイン賞・審査副委員長の齋藤精一氏、大賞を受賞したWOTAの前田瑶介代表、同・審査委員長の安次富隆氏

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