キリンビバレッジが2020年9月に発売した「キリン 生茶 ほうじ煎茶」が好調だ。発売50日で年間販売目標を達成、ブランド全体の9~10月の販売数量を前年比115%に押し上げた。後発ながらほうじ茶市場に打って出た戦略には、過去の失敗から得た教訓が生かされているという。
緑茶から茶色のお茶へトレンドシフト
緑茶市場に2000年に登場した「キリン 生茶(以下、生茶)」。当時、緑茶といえば伊藤園の「お~いお茶」だったが、生茶は摘みたての茶葉を芯まで凍らせて丸ごと搾った抽出物を用いるという、これまでのペットボトル入り緑茶の既成概念を覆す独自製法を採用。甘味と香り立ちの良さに加え、女優・松嶋菜々子のCMも話題になり一気にヒットした。
しかし20年に20周年を迎えた生茶は、“不遇の時代”を過ごしていたという。生茶のヒットで各メーカーがペットボトル入り緑茶の開発に力を入れ、緑茶は戦国時代に突入した。機能性表示食品タイプなど新製品を開発するも「どれも定着せず、08~15年は厳しい状況だった」と、キリンビバレッジ執行役員でマーケティング部の山田雄一部長は振り返る。
16年に実施したリニューアルでは、発売わずか4日で100万ケースを出荷するほどの人気で、息を吹き返したかのように見えた。ところが近年のお茶市場は健康意識の高まりもあって、緑茶から機能性訴求の茶色のお茶へトレンドがシフト。山田部長は「緑茶一本だった生茶も顧客流出が100%に達していた」と打ち明ける。
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