この『マリオカート』は何が新しいか

 最後にこの『マリオカート ライブ ホームサーキット』の何が新しいのかについても語っておこう。先に同作は「Nintendo Switch本体をコントローラーとして使用し、マリオ(またはルイージ)が乗ったRCカーを走らせてレースを楽しむ」ゲームソフトだと書いた。これだけの説明では、ただの“ラジコン”遊びをする商品と思われるかもしれない。

 しかし、いざ実機を手に取ってみると、誰しもがこのゲームの先進性に驚くはずだ。『マリオカート ライブ ホームサーキット』では、車体にカメラが搭載されていて、そこに映った光景がNintendo Switchの画面内にリアルタイムで表示される。プレーヤー(操縦者)は、カーレースのテレビ中継における車載カメラ映像のようなものを見ながらカートを走らせることができるのだ。

 同こんのキットと組み合わせれば、自宅に“サーキット”が構築できる。コース設定はプレーヤーの自由。まずはカートを操作して、室内を好きなように周回すると、その軌跡がそのままコースとしてゲーム内に登録される。キットに含まれるゲートや矢印看板をルート上に置くことで、自宅は本格的なサーキットになる。

日経BPの会議室でサーキットを作ってみた。同こんされている4つのゲートや矢印看板を配置。ゲートを番号順にくぐるようにサーキットを設定してある
日経BPの会議室でサーキットを作ってみた。同こんされている4つのゲートや矢印看板を配置。ゲートを番号順にくぐるようにサーキットを設定してある
マリオの頭上にある白い部分がカメラ。それで映した光景がNintendo Switch本体にリアルタイムで表示される。プレーヤーはこの画面を見てカートを操作する
マリオの頭上にある白い部分がカメラ。それで映した光景がNintendo Switch本体にリアルタイムで表示される。プレーヤーはこの画面を見てカートを操作する

プレーして驚き!AR空間が現実に作用する

 実際にレースを始めると、さらなる驚きが待っている。それがARによる仕掛けだ。

 前述のように、Nintendo Switchの画面に映し出されるのは「カートのカメラが撮った現実世界の映像」なのだが、同時に「キノコ」や「コイン」「バナナ」などの各種のアイテム、「パックン」などの敵キャラ、ライバルの車も出現する。ARによって、現実を映した映像にゲーム内のさまざまなギミックが追加されるのだ。

 コースの状況もどんどん変化する。雨が降っていることもあれば、雪が積もっていることもある。水中でのレースになることもある(おなじみ「プクプク」も登場)のはまさにマリオならではだ。自宅を舞台にしたサーキットであるにもかかわらず、ゲームの『マリオカート』と同様、多彩な条件下でのレースが楽しめるのだ。

 しかも、これらアイテムや敵キャラ、気象条件など、ARで表示されるギミックは、ただの映像的な演出ではない。それらは、現実世界におけるカートの挙動に影響を与える。

 例えば、敵キャラに妨害されればカートは停止するし、アイテムのキノコを使えばカートは加速する。ゲーム内の「磁石」というギミックに接近すると、カートは勝手にそちらに引き寄せられるといった具合だ。

雪が降っているコース。設置したゲートの上に雪が積もって見えることが分かるだろうか
雪が降っているコース。設置したゲートの上に雪が積もって見えることが分かるだろうか
お化け屋敷をイメージしたコースでは、四隅が暗くなっていて視界がぼんやりと狭い。遠くにはゴーストも見える
お化け屋敷をイメージしたコースでは、四隅が暗くなっていて視界がぼんやりと狭い。遠くにはゴーストも見える
コース上に磁石が登場。カートが強制的に引き寄せられる
コース上に磁石が登場。カートが強制的に引き寄せられる

 つまり、ゲームの中の“虚構”の世界で起きたことが、自宅のリビングルームという“現実”の空間にあるカートに作用する。テレビゲームの長い歴史の中でも前例がない仕組みが導入されているのだ。

 プレーヤー同士でゲームとカートを持ち寄れば、最大4人でのレースも可能。コロナ禍の今は人が集まることを避けなければならないが、いつか収束したら友達などに声を掛け、この虚構と現実が融合したレース体験をわいわいと楽しんでみたいものである。

(c)2020 Nintendo/Velon Studios