かねて携帯電話料金引き下げを訴えてきた菅義偉氏が内閣総理大臣に就任して以降、携帯電話料金が再び焦点に浮上した。武田良太総務大臣が料金引き下げに積極的な姿勢を見せる一方、携帯電話各社もさまざまな動きを見せている。菅政権発足後の料金引き下げに関する動向と、今後の焦点を確認しよう。

料金引き下げの焦点は、今後のNTTドコモの動き。2020年11月5日に新サービス・新商品発表会を実施したが、料金関連の施策は発表しなかった
料金引き下げの焦点は、今後のNTTドコモの動き。2020年11月5日に新サービス・新商品発表会を実施したが、料金関連の施策は発表しなかった

 2018年に「携帯電話料金は4割引き下げる余地がある」と発言し、携帯電話業界だけでなく消費者にも大きな波紋を広げたのが、当時官房長官だった菅義偉氏。その菅氏が20年9月に内閣総理大臣に就任し、今度は携帯電話料金の引き下げを政権の公約にまで掲げた。

 菅氏が料金引き下げにこだわる理由は2つある。1つは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社による寡占が長く続き、20%を超える高い利益を上げているなど、携帯電話を巡る市場競争がうまく働いていないこと。もう1つは、総務省が公表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」において、大容量とされる高速データ通信量20GBの料金プランを中心に、世界主要6都市の中で東京の携帯電話料金が最も高い水準にあることを問題視していることだ。

総務省「電気通信サービスに係る内外価格差調査」より。世界6都市での比較で、東京の携帯電話料金は20GBの大容量プランで最も高い水準にあり、それが菅政権が料金引き下げを求める根拠の1つになっている
総務省「電気通信サービスに係る内外価格差調査」より。世界6都市での比較で、東京の携帯電話料金は20GBの大容量プランで最も高い水準にあり、それが菅政権が料金引き下げを求める根拠の1つになっている

 そうしたことから菅政権下で新たに総務大臣に就任した武田良太氏は、就任直後から料金引き下げに向けたアクションを起こしている。20年10月8日に消費者団体の代表など携帯電話利用者との意見交換会を実施。同月27日には、総務省が「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表した。

就任直後から料金引き下げに積極的な動きを見せる武田総務大臣。2020年10月8日には携帯電話利用者の代表らとの意見交換会を実施した
就任直後から料金引き下げに積極的な動きを見せる武田総務大臣。2020年10月8日には携帯電話利用者の代表らとの意見交換会を実施した

 これは総務省が携帯電話市場の公正競争促進に向けてやるべきことを示したもの。20年に入って総務省が実施していた有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」の議論をベースとしながら、武田大臣の意向もくみ入れた内容となっているようだ。

 このアクション・プランは3つの“柱”から成り立っている。1つ目は料金プランの複雑な要素をなくして消費者の理解を助ける「分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現」。2つ目は「事業者間の公正な競争の促進」で、格安SIMなどのサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)に回線を貸し出す際の回線料金の引き下げなどが主となっている。

 そして3つ目が「事業者間の乗換えの円滑化」で、モバイル番号ポータビリティ(MNP)の転出手数料無料化や、携帯電話会社のメールサービス(いわゆるキャリアメール)の移行を検討することを打ち出している。

総務省が公開した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の概要。携帯電話市場の寡占解消に向け、3つの柱を軸に公正競争に向けた取り組みを進めるとしている
総務省が公開した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の概要。携帯電話市場の寡占解消に向け、3つの柱を軸に公正競争に向けた取り組みを進めるとしている