米アップルは米国時間2020年11月10日(日本時間11月11日)、ノートPC「MacBook Air」「13インチMacBook Pro」、デスクトップPC「Mac mini」の新製品を発表した。11月17日発売する。CPU(中央演算処理装置)に自社開発の「M1」を搭載した。今後は全てのMac製品のCPUをインテル製から自社製に切り替える。
自社設計のプロセッサー搭載で電力効率を高める
新CPUの「M1」は、アップルが設計している「Appleシリコン」と呼ばれるシステム・オン・チップ(SoC)の、パソコン向けバージョン。Appleシリコンは英アーム(Arm)のアーキテクチャーがベースになっており、iPhone、iPad、Apple Watchなど様々なデバイスに搭載されている。アップルは2020年6月にAppleシリコンを搭載したMacを20年末までに発売すると発表していた。
CPUやGPU(画像処理半導体)、I/O(インプット/アウトプット)チップなどを統合したシステム・オン・チップで、製造プロセスはパソコン向けとしては初となる5ナノメートル(ナノは10億分の1、nm)、総トランジスタ数は160億に達する。CPU部分は計8コアで、アップルでは10ワット消費時の処理性能は最新のWindowsノートに搭載されているものと比べて最大2倍、同じ性能の場合は消費電力が1/4になるとしている。
今回発売するM1搭載のMacは3製品。13.3型ノートPC「MacBook Air」は重さ1.29キログラム、冷却ファンのないファンレスで動作音が静かになっている。バッテリー駆動時間はムービー再生で最大18時間。直販価格は10万4800円(税別、以下同)から。「13インチMacBook Pro」は同じ13.3型でよりハイスペックなノートPC。重さ1.4キログラムで、バッテリー駆動時間はムービー再生で最大20時間。直販価格は13万4800円から。「Mac mini」はコンパクトなデスクトップパソコンで、直販価格は7万2800円から。MacBook ProとMac miniはインテル製CPU搭載モデルも併売する。
アップルは今後2年をかけ、MacのCPUをインテル製から自社製のAppleシリコンに切り替えていく予定だ。M1搭載Macの登場により、パソコン、スマートフォン、タブレットという3つのプラットフォームに、同じAppleシリコンのアーキテクチャーによるCPUが搭載されたことになる。
20年11月13日(日本時間)に配信が始まるMac用OSの最新バージョン「macOS Big Sur」により、Appleシリコン搭載MacではiPhone(iOS)やiPad(iPadOS)向けのアプリケーションが動作するようになる。iPhoneとMacで同じアプリを使えれば、ユーザーにとって利便性が向上する。アプリを開発するソフトウエアメーカーにとっても、動作するデバイスの幅が広がり、開発環境が共通化されるという利点がある。