雨天でも遊べる大型遊具とアウトドアコーナーも

 新山下店との違いは、体験型売り場をより進化させた点。「1号店では、本と家具をショールーム的に見せることに注力したが、尼崎店では仕掛けとしてさまざまな体験を随所で演出している」と関西TSUTAYA(大阪府吹田市)の久保田加津也社長。

 例えば飲食店運営のカフェ・カンパニー(東京・渋谷)が手がけるカフェスペース「ル・ガラージュ」のテーブルや椅子は、すべて島忠で販売している商品を使用。コーヒーを飲みながら“書斎での読書”を体験できるようになっている。座ってみて気に入った家具があれば購入も可能。驚くのは家具売り場のソファやダイニングテーブルでも、ドリンクを片手にそこで読書ができることだ。

カフェ「ル・ガラージュ」では島忠がセレクトしたお薦めの家具を体感しながら食事や読書を楽しめる
カフェ「ル・ガラージュ」では島忠がセレクトしたお薦めの家具を体感しながら食事や読書を楽しめる
ル・ガラージュではミニサイズのカレーライスなどキッズメニューも用意
ル・ガラージュではミニサイズのカレーライスなどキッズメニューも用意

 店内に2カ所ある「キッズスペース」には、“雨の日でも室内で遊べる公園”をテーマに遊具コーナーを設けた。アスレチック風の遊具やお絵描きができる黒板、ボルダリングなど小さな子供が自由に遊べる遊具を配置し、親子がゆっくり過ごせるように工夫した。児童書コーナーにも購入可能な子供椅子が置かれ、自由に遊べる空間と知育グッズが用意されている。

3~8歳程度の子供が雨の日でも遊べる遊具を備えたキッズスペース。メインターゲットであるニューファミリー層の子供連れ客を意識した
3~8歳程度の子供が雨の日でも遊べる遊具を備えたキッズスペース。メインターゲットであるニューファミリー層の子供連れ客を意識した

 キッズスペースに隣接したアウトドアコーナーには、アウトドアグッズとともにキャンプや山登り、釣りなどアウトドア関連書籍や旅行書を販売。アウトドア用のテーブル、チェア、テントを使って、親子で外遊びの体験ができる。

 さらに家具売り場には、いくつかのテーマに沿って家具と本、雑貨を融合したコーナーがあり、見ているだけでも楽しい。「せかいにひとつだけ」という名称のコーナーでは、間伐材のひのきを使った家具を陳列し、本棚には環境系の書籍が並べられている。「おかたづけはたのしい」のコーナーには、ポップな収納グッズと絵本や収納本が並び、親子で収納を学べる空間になっている。

テーマに合わせて本と雑貨、家具と本を融合させたスペース。「おかたづけはたのしい」では親子で収納を学べる
テーマに合わせて本と雑貨、家具と本を融合させたスペース。「おかたづけはたのしい」では親子で収納を学べる

 「提案型の区画というよりも、家具売り場や本売り場などが自然につながっている売り場づくりを目指した」と久保田社長。他にもキッチン雑貨の横に料理本、収納用品売り場には収納のノウハウ本など、本と関連性のある商品を軸にした売り場は、客単価のアップが期待できる。

キッチングッズ売り場の横に、料理本やファッション誌など女性向けの雑誌と書籍が並ぶ
キッチングッズ売り場の横に、料理本やファッション誌など女性向けの雑誌と書籍が並ぶ

 これまで島忠ホームズの強みといえば、ニトリやイケアよりも品質、価格面で上をいく家具を取り扱い、生活に関するすべてのものがワンストップでそろうことだった。しかし、商品の品質と接客だけでは優位性を保てなくなった今、リアル店舗での差別化はますます困難になってきている。「居心地のいい空間や、新たな価値の発見がある店舗が求められている。そんな期待が持てる店にしていきたい」と寺澤氏は話す。

 今後の計画は公表していないが、家具専門店の在り方を探ってきた島忠にとって、蔦屋書店との協業店が新たな収益の柱になる可能性は高い。

(写真/橋長 初代)