アウトドア用品のスノーピークは2020年9月18日、JR大阪駅直結のファッションビル「ルクア イーレ」に釣り具メーカーのティムコとのコラボショップをオープンした。コンセプトは「キャンプフィッシング」。20代後半から30代のアウトドア初心者層に訴求し、キャンプ市場の裾野拡大を狙う。

JR大阪駅に直結するファッションビル「ルクア イーレ」に新設されたアウトドアゾーンに出店したスノーピークの直営店「スノーピーク ルクア イーレ」。20代後半から30代の女性客やファミリー層を狙う
JR大阪駅に直結するファッションビル「ルクア イーレ」に新設されたアウトドアゾーンに出店したスノーピークの直営店「スノーピーク ルクア イーレ」。20代後半から30代の女性客やファミリー層を狙う
[画像のクリックで拡大表示]

スノーピークとティムコの初コラボショップ

 スノーピークとティムコが共同出資した初の直営店「スノーピーク ルクア イーレ」は、ルクア イーレ6階に設けられたアウトドアゾーン「ルクア アウトドア フロム アルビ」の一角にある。JR大阪駅の高架下にあった「アウトドアのアルビ」が20年8月末で閉館し、その売り場を引き継ぐ形で8店舗が移転。米ポートランド発のアウトドアブーツブランド「Danner(ダナー)」と、たき火用ギアに特化した広島発のブランド「野良道具製作所」の2ブランドを加え、計10ブランドがこのゾーンに出店した。

 大阪駅ビルのアウトドアゾーンは、1991年に開業した「ギャレ大阪」に端を発し、30年の歴史がある。2011年に「アルビ」として再オープンして以降も、30代後半を中心としたアウトドア愛好者の支持を獲得。今回新設されたアウトドアゾーンでは、既存客に加え、アウトドアにチャレンジしたいファミリー層や生活の一部にアウトドアを取り入れたい人もターゲットに設定した。

 「アウトドアになじみのなかった人でも、マイペースで楽しめる売り場を提案していきたい」と、JR西日本SC開発・事業企画部担当部長の福本一成氏は話す。グランピングや“おうちキャンプ”が広がるなか、ルクアの主要ターゲットである20代から30代の感度の高い女性を中心に、新たなファンを増やしていきたい考えだ。

スノーピーク ルクア イーレでは、「キャンプフィッシング」をコンセプトに、キャンプと釣りの経験豊富なスタッフが常駐し、新たなアウトドアライフを提案する
スノーピーク ルクア イーレでは、「キャンプフィッシング」をコンセプトに、キャンプと釣りの経験豊富なスタッフが常駐し、新たなアウトドアライフを提案する
[画像のクリックで拡大表示]

 スノーピーク ルクア イーレはアウトドアゾーンの中でも注目テナントの1つ。売り場面積約310平方メートルのうち、スノーピークが227平方メートル、ティムコが83平方メートルを占める。店舗中央にはスノーピークのテントを張り、コンセプトであるキャンプフィッシングシーンを演出、キャンプをしながら釣りを楽しむ新たなアウトドアライフを提案する。スノーピークの売り場には、アウトドアギアとアパレル製品をほぼフルラインアップで展開。ティムコの売り場は、同社が手がけるアウトドアウエア「フォックスファイヤー」を豊富にそろえ、釣り具などのギアも一部取りそろえている。

売り場中央には、スノーピークのテントやキャンプ用品を展示し、釣りとキャンプを楽しむシーンを演出
売り場中央には、スノーピークのテントやキャンプ用品を展示し、釣りとキャンプを楽しむシーンを演出
[画像のクリックで拡大表示]
ほぼフルラインがそろうスノーピークのアパレル売り場。難燃性素材を使った焚火シリーズなどキャンプシーンで着る機能的なウエアをタウンユースで使う人も多い
ほぼフルラインがそろうスノーピークのアパレル売り場。難燃性素材を使った焚火シリーズなどキャンプシーンで着る機能的なウエアをタウンユースで使う人も多い
[画像のクリックで拡大表示]
ティムコが手がけるアウトドアウェア「フォックスファイヤー」を中心に、一部、ビギナー向けの釣り具も取りそろえている
ティムコが手がけるアウトドアウェア「フォックスファイヤー」を中心に、一部、ビギナー向けの釣り具も取りそろえている
[画像のクリックで拡大表示]

 キャンプと釣りというアウトドアのカテゴリーを融合した店舗は、スノーピークでも初の試みだ。アウトドア用品チェーンはほぼすべての製品カテゴリーを網羅しているが、キャンプと釣りの専門ブランドがタッグを組むケースは珍しい。両社のコラボショップが誕生したきっかけについて、同店の雨森良太店長は「両社の共通点は自然を楽しむアウトドアブランドであること。当社会長の山井太がフライフィッシングを楽しんでいて、釣り好きなスタッフも多い。キャンプと釣りを融合することでファンを増やし、キャンプ市場の裾野を広げていきたい」と話す。

 ティムコは日本におけるフライフィッシングのパイオニア的存在で、19年4月にスノーピークと資本業務提携契約を締結。共同開発商品と販売店舗の拡充、イベント開催などで協業し、今後もキャンプをしながら釣りを楽しむという新たな体験価値を提案していく。

 初のコラボショップには、共同開発商品の第1弾となるフライフィッシング初心者向けのエントリーパック(4万4000円・税込み)も販売している。「最近、フライフィッシングを始める人が増えている」と売り場担当者。そのため、初心者にも十分な機能とクオリティーを備えたオリジナルのフライロッド、フライリールに加え、フライライン、バッキングライン、リーダー、ティペット、フライといった必要な道具を一式そろえた。

釣りざお、リール、釣り糸、毛ばりなど、フライフィッシング初心者に必要な道具一式がそろっている
釣りざお、リール、釣り糸、毛ばりなど、フライフィッシング初心者に必要な道具一式がそろっている
[画像のクリックで拡大表示]
スノーピークとティムコが共同開発したフライフィッシングのエントリーパック。初心者にも十分な機能とクオリティーを備えた道具一式が入っている
スノーピークとティムコが共同開発したフライフィッシングのエントリーパック。初心者にも十分な機能とクオリティーを備えた道具一式が入っている
[画像のクリックで拡大表示]

 キャンプ用品は全アイテムをラインアップ。ピクニックやおうちキャンプにも使えるコンパクトなカセットコンロ「HOME&CAMPバーナー」は、非キャンプ層にも人気が高い(関連記事:半年で4.5万台 家庭も狙うスノーピークの折り畳み式コンロ)。キャンプシーンだけでなく、タウンユースでも着られるアパレルも取りそろえていることから「アパレルの購入をきっかけにキャンプを始める人も増えている」(雨森店長)という(関連記事:完売続くスノーピーク「たき火用ベスト」 ギアっぽくないで人気)。

コロナ禍でキャンプ需要が高まり、業績好調

 スノーピークの20年12月期第2四半期累計(1-6月)の業績は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う商業施設の休業などの影響により、売上高が前年比4.2%減の65億7400万円、営業利益が同44.2%減の2億6200万円と減収減益となった。そんな中、自社EC(電子商取引)の売上高は店舗休業中も前年比136.7%と高い伸びを示した。

 同社の日本国内の動向を追ってみると、20年5月に前年同月比63%まで売り上げが落ち込んだものの、緊急事態宣言解除後の6月には同7.5%増まで回復。新規会員数も6月単月で1万人を突破し、過去最多を獲得した。さらに7月まで減少が続いた直営店の売り上げが、8月には同122.9%の増収に転じている。

 背景にはコロナ禍で屋内レジャーが敬遠される中、感染リスクが少ないキャンプに注目が集まっていることがある。「新型コロナの影響で、都心に行くよりも自然の中で過ごしたいという人は多い。キャンプを題材にした漫画が話題になったこともあり、ソロキャンパーや女性キャンパーなどビギナーのお客さまも増えている」(雨森店長)。

自宅でもキャンプの雰囲気を楽しめる人気の「HOME&CAMPバーナー」(9980円・税別)。ガス缶をセットする本体部分に五徳を格納できる画期的な構造で、洗練されたデザインも魅力
自宅でもキャンプの雰囲気を楽しめる人気の「HOME&CAMPバーナー」(9980円・税別)。ガス缶をセットする本体部分に五徳を格納できる画期的な構造で、洗練されたデザインも魅力
[画像のクリックで拡大表示]

 実際に20年4~5月は、自宅でアウトドアを体感したいというニーズから、HOME&CAMPバーナーなどのヒーティング商品や調理器具が人気を集めた。さらに6月以降はキャンプ需要が高まり、キャンプ関連商品が売れた。特にテント類は20年6月単月で前年比47%増に達した。テントとタープをセットにしたエントリーモデルや、リビングスペースとベッドルームをレイアウトした初心者でも設営しやすい2ルームシェルター、焚火(たきび)台スターターセット、ワンアクションローテーブルなどが売れている。同社は下期も好調に推移すると見ており、通期の売上高は前年比約8億円増の約150億円を見込んでいる。

 ここ数年の自然志向とアウトドアブームを追い風に拡大しつつあったキャンプ市場は、コロナ禍でも人気が加速している。

外出自粛が強いられる中、自宅でアウトドアを体感したいというニーズから、店舗休業中の4~5月もヒーティング商品や調理器具が売り上げを伸ばした
外出自粛が強いられる中、自宅でアウトドアを体感したいというニーズから、店舗休業中の4~5月もヒーティング商品や調理器具が売り上げを伸ばした
[画像のクリックで拡大表示]

(写真/橋長初代)