2020年11月3日に実施予定の米大統領選を目前にして、共和党と民主党の両陣営はキャンペーン商品の販売でもしのぎを削る。政治キャンペーン商品は候補者のブランディングになり、デザイン的にユニークな商品が多い。候補者の名前を広めて支持を呼びかけたり、支援者のアイデンティティーになったりするだけでなく、重要な収入源でもある。
2020年11月3日の米大統領選挙を前に、活動資金の一部となるキャンペーン商品販売が激化している。まずはトランプ陣営のオフィシャルグッズを見てみよう。
トランプ氏が以前から掲げているテーマ「Make America Great Again」の略称は「MAGA」。トランプ支持者がよくかぶっている赤いキャップは、共和党のカラーを施した「MAGAハット」だ。前回16年の大統領選では、販売開始の15年夏から17年春までの間に50万個以上売れたベストセラーで、反トランプ派が普通の赤いキャップを敬遠するようになるほど、イメージ戦略として成功した商品といわれる。今回は他の色にも展開、さらなる販売増を目指している。
他に目立つのは、ビールやウイスキーのグラス、現場用ヘルメットなど、労働者層にアピールする商品。他方、富裕層をイメージさせるカフリンクスもあり、70ドルと高価だ。
これらキャンペーン商品は、両陣営だけでなく、一般企業も自ら考案して販売する。選挙戦の状況に対応して新商品を企画し、驚くほどスピーディーに市場に出す。
例えば、9月末に行われた両候補の第1回討論会の翌日には、バイデン候補の「君、ちょっと黙ってくれないか」という発言をプリントしたTシャツを、オフィシャルサイトや多数のメーカーが販売。一方、トランプ氏が極右組織に対してコメントしたとされる「下がって待機せよ」という発言も、すぐにTシャツとなった。ただ、この商品についてはAmazonやeBayなどのサイトが販売を中止する処置に出ている。
キャンペーン商品は政治や商売、風刺などが入り乱れる米国ならではの市場といえそうだ。
バイデンとハリス陣営は実直なデザイン
一方、民主党候補のジョー・バイデンとカマラ・ハリス陣営は、日常的に使える商品を多数ラインアップしている。民主党カラーである青を基調にして、実直で飾り気のないデザインがほとんど。「Build Back Better(米国を立て直そう)」という標語の他にも、「嘘よりも真実を」「作り事よりも科学を」「恐怖よりも希望を」という訴えがシンプルに目立つ。
マスクや消毒液といった新型コロナウイルスに対応した商品もあり、消毒液には「バイデンはコロナ禍と戦う」「科学を信じる大統領が必要だ」という文字を印刷。また、米国製品であり、組合に所属する労働者が製造したことも各商品に明記している。デジタル商品もあり、人気コンピューターゲーム「アニマルクロッシング(あつまれ どうぶつの森)」用のアイテムの他、無料のバナーや壁紙なども用意した。
9月初頭には「Believe in Better(良くなると信じよう)」コレクションと銘打ち、トリー・バーチやヴェラ・ウォン、ジェイソン・ウーら19人の有名デザイナーが手掛けた商品も追加。同陣営への支持が明らかになった。Tシャツが40ドル以上するなど価格は高めだが、陣営への支持とファッション性を備えた商品に注目度は高い。
