外食チェーン大手のワタミは2020年10月5日、「居酒屋 和民」など既存の居酒屋120店舗を新業態「焼肉の和民」に転換し、今後の主幹事業にすると発表。1号店を大鳥居駅前(東京・大田)にオープンした。同社では21年3月末までに60店舗、21年度中に60店舗を順次転換していく予定だ。

「居酒屋 和民」から「焼肉の和民」へ。今後、ワタミでは焼肉業態を主幹事業としていく
「居酒屋 和民」から「焼肉の和民」へ。今後、ワタミでは焼肉業態を主幹事業としていく

居酒屋業態に見切り、外食産業の中心は焼き肉に

 ワタミ会長兼グループCEOの渡邉美樹氏によれば「居酒屋業態の需要は新型コロナウイルス感染症が流行する以前から減少傾向にあった。そこへコロナ禍で居酒屋業態の売り上げは大幅に落ち込んだ」とのこと。「今後回復してもコロナ以前の7割程度にとどまる」と渡邉氏はみる。ワタミは2020年5月に居酒屋65店舗の閉店を発表したが、そのままでは大幅な人員削減が避けられない。同社としては新業態に移行することで従業員の雇用を維持したい考えだ。

 焼肉店に業態転換するのは「居酒屋 和民」「坐・和民」の全店と「旨唐揚げと居酒メシ ミライザカ」「三代目 鳥メロ」の一部店舗。焼肉業態としては、ワタミはすでに「幸せの焼肉食べ放題 かみむら牧場」を出店しているが、こちらはロードサイド店という位置付けだ。その点で、居酒屋業態で出店してきた駅近での展開となる「焼肉の和民」とは異なる。既存店舗からの転換出店なので、スピード感のある店舗展開が可能だという。

大鳥居駅前店の入り口
大鳥居駅前店の入り口

 「『かみむら牧場』で(和牛生産企業の)カミチクグループと提携し、仕入れルートを確立できた。焼肉業態の売り上げは外食産業全体の売り上げ平均を上回っている。焼肉業態はアフターコロナ時代の外食産業の中心になる」と渡邉氏。居酒屋からの業態転換は全体で120店舗としているが、全店で業態転換が完了した後はフランチャイズ展開し、5年間で400店舗を目指すとのことだ。

オリジナル和牛も開発、居酒屋の遺伝子も引き継ぐ

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