「無印良品」を展開する良品計画は2020年10月1日、「無印良品 衣料品の価格見直し発表会」を開催した。10月2日から、綿やウール、ダウンなど自然素材にこだわった衣料品72品目の値下げを実施。衣料品の収益回復が遅れている中、なぜ同社は大幅値下げに踏み切ったのか。

「無印良品 銀座店」で開かれた発表会は、オンラインでも参加可能
「無印良品 銀座店」で開かれた発表会は、オンラインでも参加可能

セール取りやめで「密」を回避

 オーガニックコットン100%使用の「縦横ストレッチチノパンツ(紳士)」は、3990円(税込み、以下同)が2990円に。「ウールシルク 洗えるクルーネックカーディガン(婦人)」は、3990円から2990円に――。

 良品計画が「無印良品」の衣料品を値下げした。1990年代前半から定期的な価格の見直しを行ってきた無印良品だが、2020年の秋冬シーズンは少し様子が違う。「売り上げベースで衣料品全体の約25%を占める商品の価格を見直した。衣料品としては過去最大級」(良品計画執行役員オープンコミュニケーション部長の大西克史氏)というほどの、大規模な値下げだ。

靴下は20年10月2日の価格改定に先立って同年9月に値下げ。3足790円だったものが、690円になった
靴下は20年10月2日の価格改定に先立って同年9月に値下げ。3足790円だったものが、690円になった

 同社執行役員衣服・雑貨部長の齋藤陽司氏によると、値下げ実現の裏には素材の選択、工程の見直し、包装の簡略化を繰り返し実施した他、「原料の仕入れから始まり、糸にして製品にし、貿易して国内に入ってからの配送など、長いサプライチェーンの各所でコストを見直した」といった企業努力があるとのこと。

 こうした“安心価格”での提供を日常的に行うことで、これまで定期的に実施してきた「期間限定セール」や「週末限定セール」は取りやめる方針だ。コロナ禍の現在、一過性のプロモーションは多くの客が詰めかけ、店内が密になってしまうリスクも大きい。ただし会員向けのキャンペーン「無印良品週間」は不定期で実施する他、シーズンの変わり目に行う「季節の品のお買い得」も、これまで通り実施する予定だ。

冬に向けて1枚は手に入れたいフランネルのスタンドカラーシャツ(紳士)は2990円から1990円に
冬に向けて1枚は手に入れたいフランネルのスタンドカラーシャツ(紳士)は2990円から1990円に
軽い着心地の「洗いざらしオックス」のスタンドカラーシャツも2990円から1990円に
軽い着心地の「洗いざらしオックス」のスタンドカラーシャツも2990円から1990円に

 20年4〜5月には国内約292店舗が営業停止、海外では25の国と地域で一時、全店が営業を停止するなど、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けた良品計画。20年3~5月の第1四半期に前年同期比で7割近くまで落ち込んだ国内の売り上げは、第2四半期には同約115%まで回復した。しかし衣料品に限っては、気候の影響があったとはいえ、第2四半期も完全回復には至っていない。

 そんなタイミングでの、衣料品の大幅値下げ。良品計画がこうした記者発表会を開いたことは、価格改定の発表はもとより、店舗の開店や新製品の発売などのタイミングでも過去ほとんどなかったという。そこにはどんな意図があるのか。

「納得価格」で消費者に寄り添う姿勢をアピール

 19年10月に実施された消費増税からいまだ収束の見えないコロナ禍まで、大きく変わった消費者の動向を、同社ではこう見ている。