プロの料理人が釣果を調理してくれる会員制レストランが好調だ。コロナ禍で外食産業が苦しむ中、店舗を西麻布から六本木に移転、店舗面積を2.5倍に増床してリニューアルオープンした。オーナーが語る「今だからこその決断」の理由と会員制レストランの強みとは。

釣り人が自分で釣った魚を持ち込み、調理してもらえる会員制レストラン「リストランテ ペスカトーレ by シェフシェアリング釣り人」。オーナー佐野順平氏は自らが熱狂的な釣り人だ
釣り人が自分で釣った魚を持ち込み、調理してもらえる会員制レストラン「リストランテ ペスカトーレ by シェフシェアリング釣り人」。オーナー佐野順平氏は自らが熱狂的な釣り人だ

釣り人が持ち寄る釣果をシェフが調理

 釣り人は「釣果を食べる(こともある)人」と「魚を釣ることだけを純粋に楽しむ人」に大きく分けられる。前者の多くにとっては、釣り上げた魚を持ち帰り、さばき、調理するところまでが釣りと地続きの楽しみだ。

 ただし、その中にも包丁の扱いが苦手な人はいる。得意な人、料理好きな人にしたところで、丸1日釣りをした後、魚をさばく元気が残っていない日だってある。

 釣った魚をさばくのは面倒。とはいえ、せっかく釣った魚はおいしく食べたい――「シェフシェアリング 釣り人」は、そんなニーズに応えるべく、2017年に西麻布にオープンした会員制レストランだ(関連記事「日本初、釣り人のための月額制レストラン その驚きの巻き込み力」)。同店が20年7月に六本木に移転し、「リストランテ ペスカトーレ by シェフシェアリング釣り人」としてリニューアルオープンした。

六本木にリニューアルオープンした「リストランテ ペスカトーレ by シェフシェアリング釣り人」。7月27日に行われたメディア向け体験会のときには俳優の千葉真一氏や八丈島で活動するプロアングラーのパパ大津留(大津留克明)氏らから祝いの花が届いていた
六本木にリニューアルオープンした「リストランテ ペスカトーレ by シェフシェアリング釣り人」。7月27日に行われたメディア向け体験会のときには俳優の千葉真一氏や八丈島で活動するプロアングラーのパパ大津留(大津留克明)氏らから祝いの花が届いていた

 店としてのスタイルはリニューアル前と変わらない。会員登録し、釣果をこの店に持ち込むと、経験を積んだシェフがどんな魚もさばき、料理として提供してくれる。

 「六本木の会員制レストラン」と聞くと、非常に高価な店を想像しそうだが、会費は手ごろだ。会員種別は2つ。釣った魚を持ち込み、さばいてもらう権利がある「釣り人会員」と、釣り人が持ち込んだ新鮮な魚を素材とした料理を楽しむだけの「釣り人応援会員」で、前者は入会金が2万円、初月会費が月額1000円、2カ月目以降が同5000円、後者は入会金が5000円、会費が月額2000円となっている(いずれも税別)。なお、釣り人会員が1カ月に1回も魚を持ち込まなかった場合は、翌月に4000円のコース料理の無料券(有効期限3カ⽉)がもらえる仕組みだ。

 コンセプトを立案し、出資したオーナーの佐野順平氏は「釣り人にとって最も大事なものは、釣行のための軍資金。だからこそお店で提供する料理は極力安くしたい」と語った。

釣りをしない人に向けたプランも用意

 釣り人会員が同店を利用する場合、釣った魚を店に持ち込むかクール便で店舗に発送する。店に届いた魚はシェフによってさばかれ、そのまま調理してもらうか、さばいた魚を素材として持ち帰るかを選べる。あるいは、同店で冷凍保存しておき、別の日に調理してもらうことも可能だ。

 料理は、2000円、4000円、8000円、1万2000円の4コース。例えば4000円のコースは、前菜+メインディッシュ2種+パスタやリゾットの4品に、アルコール類を含めたフリードリンク付き、2000円のコースは、魚料理+パスタやリゾットの2品に1ドリンクが付く。価格の違いはあくまでも皿数などによるもので、アコウやノドグロ(アカムツ)といった超高級魚を使う場合もコース料金の値段が変わらないのは、仕入れを主に釣り人の釣果に頼っているこの店ならではだ。

左上からアコウダイのカルパッチョ、ミズダコのラグーソース フジッローニ、ヒラメのムニエル焦がしバターソース、スペイン産ひまわり豚のピザ職人風の4品。ドリンクはワイン、ビール、焼酎、日本酒、ウイスキー、ソフトドリンクが楽しめる
左上からアコウダイのカルパッチョ、ミズダコのラグーソース フジッローニ、ヒラメのムニエル焦がしバターソース、スペイン産ひまわり豚のピザ職人風の4品。ドリンクはワイン、ビール、焼酎、日本酒、ウイスキー、ソフトドリンクが楽しめる

 今までどんな魚が持ち込まれたかを聞くと、「海の魚が中心だが、鮎(あゆ)などの川魚もあり、種類は多い。ノドグロ、クエ、アコウダイといった有名な高級魚や100キロを超えるようなアブラボウズ、青森県の大間沖で釣ってきたクロマグロも持ち込まれた」(佐野氏)という。