コロナ禍で自宅でぬか床を育て、ぬか漬けを楽しむ女性、いわゆる「ぬか女」が増え始めている。きっかけの1つは、2年半前に良品計画が発売した無印良品の「発酵ぬかどこ」。毎日かき混ぜなくていい手軽さがうけ、前年比2倍のヒットに。なぜ今、女性たちはぬか床を愛し、ぬか漬けに走るのか。

無印良品が販売する「発酵ぬかどこ」。1キログラムで価格は890円(税込み)。250グラムの補充用も販売している
無印良品が販売する「発酵ぬかどこ」。1キログラムで価格は890円(税込み)。250グラムの補充用も販売している

ぬか床のハードルを取っ払う

 ぬか床といえば、毎日かき混ぜる手間がかかるもの。そう考えている人が多いのではないだろうか。そんな常識を覆したのが、無印良品の毎日かき混ぜなくていい「発酵ぬかどこ」(税込み890円)だ。発酵ぬかどこの生産量と売り上げの伸び率は前年比2倍以上。発酵ぬかどこが入荷すればその分売れるため、店舗側も「ぬか床さえあればその日の食品の売り上げはアップする」と言うほどだ。

 発酵ぬかどこは抗菌性の高い特別な乳酸菌を使って発酵させているため、かき混ぜる必要がない。チャック付きの袋で販売されており、そのまま漬物容器として使うこともできる。通常のぬか床なら最初は捨て漬けの野菜を入れなければならないが、発酵ぬかどこの場合はそれが不要で、買ったその日からぬか漬けを始められる。コロナ禍のステイホーム中にぬか漬けを始めた人が増えているそうで、SNSでこの商品に関する投稿も多いという。

 しかし無印良品によれば、発酵ぬかどこのヒットは「新型コロナウイルスの感染拡大はあまり関係がない」という。そもそも発酵ぬかどこはコロナ禍以前から販売されており、既に好評を博していたからだ。良品計画の調味加工担当マネージャー鈴木美智子氏に背景を聞いた。

 「発酵ぬかどこは2018年3月、大阪の旗艦店となるイオンモール堺北花田店がオープンしたのと同時に発売した。この店舗がスーパーマーケットも兼ね備えていたこともあり、今まで無印良品が手を付けていなかった生活のサポートがまだあると考え、調味料などを店頭に並べた。その際にぬか床もあったらいいなと思い、販売を決めた」(鈴木氏)

袋の口をはさみで切って……
袋の口をはさみで切って……
野菜を漬けるだけ。後は冷蔵庫に保管して出来上がりを待つ。1週間に1度程度かき混ぜれば、毎日かき混ぜる必要はない
野菜を漬けるだけ。後は冷蔵庫に保管して出来上がりを待つ。1週間に1度程度かき混ぜれば、毎日かき混ぜる必要はない

 ぬか床と一緒に販売した調味料は、酢、味噌だれ、塩麹(こうじ)、醤油麹などの発酵食品が中心。現在無印良品では、全店舗数の約半分となる200店舗強で、これらの商品を販売しているそうだ。

 無印良品では、基本的に商品開発に伴う市場調査などは行わないという。発酵ぬかどこもそうだった。鈴木氏は商品企画についてこう話す。

 「毎日かき混ぜなくていいような、簡単に始められるぬか床ならぜひ欲しいと思った。おしゃれな生活雑貨を扱うような他店で販売しているぬか床でも、毎日かき混ぜなくてはならない。そうした普通のぬか床ではなく、もっと気軽なものにしたくて、商品のイメージをつくっていった」(鈴木氏)

 その後、かき混ぜなくてもいい特別なぬか床を生産し、特許を持っている工場を見つけ、商品化にこぎ着けた。