「東京ゲームショウ 2020 オンライン(TGS2020 ONLINE)」がいよいよ始まる。約25年の歴史で初となるオンライン開催のイベントはどのような狙いで構築されたのか。見どころは何か。主催するコンピュータエンターテインメント協会の理事を務めるカプコンの辻本春弘社長に聞いた。

一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)理事およびイベント委員長で、カプコン 代表取締役社長 最高執行責任者(COO)の辻本春弘氏
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)理事およびイベント委員長で、カプコン 代表取締役社長 最高執行責任者(COO)の辻本春弘氏

――オンライン開催への移行は、どのような経緯で決まったのでしょうか。

辻本春弘理事(以下、辻本氏) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界3大ゲームショウである米国のE3(Electronic Entertainment Expo、エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)の中止が20年3月に決まりました。ドイツのgamescom(ゲームズコム)はオンライン開催となり、TGSもいつも通りの実施は難しいのではないか、とCESA理事会およびイベント委員会で検討の課題となりました。

 未曽有の感染症だったこともあり、物理的なイベント開催を待ち望むファンのためにも、しばらく様子を見て判断をしたほうがいいという意見もありましたが、会場である幕張メッセとの調整や参加企業の準備期間などを考えると、5月のゴールデンウイークまでには結論を出す必要がありました。そのため、まずは物理的な開催は見送るべきだと判断し、さらに議論を重ねて最終的にオンラインでの開催を決めました。

20年9月23日~27日(23日はオンライン商談のみ)開催の「東京ゲームショウ 2020 オンライン」のWebページ。画像は20年9月18日時点
20年9月23日~27日(23日はオンライン商談のみ)開催の「東京ゲームショウ 2020 オンライン」のWebページ。画像は20年9月18日時点

無料にして多数の視聴者を集める

――オンライン化を進める上で困難だったことは。

辻本氏 最も悩んだ部分は、例年同様にいかに多くの方にご満足いただけるイベントとしていきながらも、予算を調整することです。各企業の出展料に関しても例年通りとはいかず、どのくらいの収入があり、どのくらいの支出があるかの見通しがまったく見当がつきませんでした。

 まず入場料に関しては、1人でも多くの人に見てもらうことを考えて視聴は無料としました。視聴者が増え、これだけ多くの人が来ると示すことができれば、出展する企業も増え、新しいコンテンツが生まれていく。そうした相乗効果のサイクルを作り出していくために、まずは無料でやろうということになりました。

 従来の出展ブースに代わる枠として用意したのが、動画を配信する公式番組です。出展企業にとっては、TGS2020 ONLINEのタイムテーブルに掲載されるため、露出効果は高いと考えています。

公式番組のタイムテーブル。画像は20年9月18日時点
公式番組のタイムテーブル。画像は20年9月18日時点

 2019年は40の国と地域から655の企業や団体が出展しました。オンライン開催となったTGS2020 ONLINEは、200社ほど集まれば、という見方もあったのですが、実際には400社以上が参加します。注目したいのは、北米、欧州、アジアなど海外からの出展が国内を上回ったことです。

 オンライン開催となり、海外からでも距離の壁を越えてコストを抑えながら参加できます。その点に関しては、オンラインこその恩恵と言えます。

――期間中に独自の動画配信を行うメーカーもあります。メーカーが公式番組で配信する利点はどこでしょうか。

辻本氏 TGSという枠組みを用意し、各社がそれぞれ動画配信するだけでは、好きなメーカーや好きなタイトルの番組のみを見て終わることが多いと思います。公式番組では、1つの番組の後にまた次と色々なメーカーが登場することで、新たな情報に触れる機会ができます。各企業は今まで獲得できなかったファン層にアプローチできる、そこは公式番組にしかない利点と言えます。

 今回が初めてのオンラインなので、視聴者にとって見やすい環境を整えるため、できるだけシンプル化し、タイムテーブルは1つだけにしました。e-Sports Xと日本ゲーム大賞など一部は別の枠を用意しています。

26時まで公式動画を配信

――オンラインになったことの最大のメリットは何でしょうか。

辻本氏 会場を使用することによる時間制限がなくなったことですね。これまで物理的に開催していたTGSでは、10時から17時までという会場の制限を設けていました。オンラインでは、朝の開始時刻は同じですが、終了時刻は一番遅い番組で26時、夜中の2時まで行うものもあります。

 夜8時以降をゴールデン枠と位置付けています。仕事や学校などから帰ってきて、ちょうどライブで見られる時間で、より多くの人が楽しめる時間帯です。さらに数時間程度の時差があるアジア各国のほか、欧米など海外からの視聴も期待できます。

 公式番組はタイムテーブルに沿って、ライブで視聴してもらうのが一番良いですが、リアルタイムで視聴が難しい人もいるでしょう。そのために年内はアーカイブとして視聴できるように残しておく予定です。