飲食店の予約管理システムを手掛けるエビソル(東京・渋谷)は、AI(人工知能)電話予約サービス「AIレセプション」の提供を2020年10月から開始する。このAIはLINEの音声対応AIサービス「LINE AiCall」をベースにしており、対人と変わらない自然な会話が可能だという。

Web経由で手軽に飲食店の予約ができるようになったことで、かえってスタッフの負担が大きくなってしまったのが予約電話への対応だ(写真/shutterstock、mangpor2004)
Web経由で手軽に飲食店の予約ができるようになったことで、かえってスタッフの負担が大きくなってしまったのが予約電話への対応だ(写真/shutterstock、mangpor2004)

予約の半分以上を占める電話にAIが対応

 「ぐるなび」「食べログ」「ホットペッパーグルメ」など、いくつものグルメサイトがネット予約機能の利用を促進している昨今。飲食店における座席の予約は「ネットで調べて電話」というスタイルから、「ネットで調べてそのまま予約」というスタイルに変わりつつある。

 とはいえ、ネット予約の一元管理システム「ebica(エビカ)」を提供するエビソルのデータによれば、2019年10月時点でもその割合は全体の46%程度。残りの54%はいまだに電話予約だという。しかも前日から当日にかけては電話予約のほうが圧倒的に多く、比率で言えばネット予約の2倍近くに上る。

飲食店のネット予約と電話予約の比率
飲食店のネット予約と電話予約の比率
10%程度だった2012年と比べると、19年のネット予約の比率は5倍近くになったが、いまだに半数以上が電話予約となっている(出典:ebica予約データ、19年10月時点)

 ネット予約と電話予約が混在する現状において、電話予約への対応は店側にとって大きな負担になっている。単に予約状況を確認しつつ顧客とやり取りすれば済むわけではなく、自社のWebサイトに加えて、提携している各グルメサイトにも同じ予約情報を手作業で入力する必要が生じるからだ。

 また複数のグルメサイトと提携している場合、開店前および閉店後の時間帯や休日など、スタッフが対応できないタイミングでグルメサイト経由の予約が重複してしまう可能性もある。それを避けるためには、グルメサイトごとに一定の空席を確保しておくことも必要になる。

ネット予約は顧客にとって便利な機能だが、電話予約が混在することでスタッフの負担はかえって増えている
ネット予約は顧客にとって便利な機能だが、電話予約が混在することでスタッフの負担はかえって増えている

 そうしたスタッフの手間や機会損失のリスクを解消するのが、ネット予約の情報をリアルタイムで自動登録するebicaだ。自社サイト、各グルメサイトの空席情報を横断的に更新するebicaを導入すれば、同じ予約情報を各グルメサイトに入力する手間はなくなる。またネット予約が重複する心配もなくなるので、すべての空席をネット予約用に開放することも可能になる。さらにebicaは各種POSシステムとも連携しており、予約なしでの来店情報を登録する機能も備えている。

 そのebicaに電話予約の自動登録機能を追加するのが新サービス「AIレセプション」だ。「さゆり」と呼ばれるAIスタッフが合成音声で顧客と会話し、顧客の名前と来店人数・日時を確認した上で、その情報をネット予約の場合と同様にebicaに登録する。各グルメサイト経由の予約だけでなく、電話による予約もデジタルデータで一元管理できるようになるわけだ。

AIレセプションのイメージ
AIレセプションのイメージ
AIスタッフの「さゆり」がオンラインでebicaと連携し、空席情報の確認・提案から予約の登録までを行う

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