2019年の市場規模は600億円

――「アイマス」シリーズはゲームを核に、今やライブや音楽配信、アニメ、コミックなどメディア横断的に事業を展開されています。事業の規模としては今、どのくらいですか。

坂上氏 スマホ向けのゲームアプリおよびソシャゲの延べダウンロード数は約4300万ダウンロード。家庭用ゲーム機向けにはこれまで14タイトルを販売し、シリーズ累計販売本数は約200万本です(いずれも20年7月時点)。19年度のIP関連の商品とサービスの売上推定総額はパートナー企業も含めて約600億円でした。

――主軸はやはりゲームですか?

坂上氏 ゲームを軸に、ライブや音楽CDなどですね。19年度のライブは、東京ドームや幕張メッセ、さいたまスーパーアリーナといった全国のアリーナ/ドーム会場などで9公演、計18回開催しました。国内外のライブビューイングを含めると、1公演当たり最大10万人を動員する規模に成長しています。

――規模拡大のターニングポイントはいつだったのでしょう。

坂上氏 07年1月、初の家庭用ゲーム機向けとしてXbox 360で『アイドルマスター』を発売しました。ちょうどYouTubeやニコニコ動画などの映像配信サービスが花開いた時期だったこともあり、ユーザーによるプレー動画や創作動画が多数アップされたんです。権利上、微妙なところではありますが、盛り上がりにつながったのは事実です。

Xbox 360版『アイドルマスター』
Xbox 360版『アイドルマスター』

 「アイマス」というコンテンツの認知が拡大したのは、11年のアニメ『アイドルマスター』放送です。ここで裾野が広がり、11年11月にモバゲーで配信した『アイドルマスター シンデレラガールズ』につながります。これがシリーズ初のソシャゲ。当時は携帯電話向けでしたが、事業としても大きく花開きました。

――ビジネスモデルも大きく変わりますね。

坂上氏 ゲームにとって、重要なのはユーザーとのタッチポイントをどう作るかだと思います。アーケードゲームは店に行く必要がありますし、家庭用ゲームはハードとソフトが必要。さらにこの頃からハードを立ち上げ、腰を据えて遊ぶことがライフスタイルに合わなくなってきたという声も一部にありました。これに対して、ソシャゲは基本プレー無料で自分の好きなときに遊べる。とても手軽です。

 家庭用ゲームを作っていたときに思ったんですが、お客さんがゲームを買わない最大の理由は「時間がない」なんです。「お金がない」というのもあるでしょうが、時間がないことのほうが大きい。だから、基本プレー無料にして売り上げをどう立てるかより、好きなときにいつでも遊べることを重視して展開しました。

――その後はスマホアプリゲームになります。

坂上氏 アプリにしてからは、ゲーム性を重視しています。従来のカードゲームに加え、リズムゲームの要素を入れました。これはタッチパネルでプレーできるスマホの存在が大きい。家庭用ゲームでも一部リズムゲームの要素を入れたものがありましたが、やはりゲームの世界観と相性がいいし、楽曲もありますから、ユーザーにも違和感なく受け入れられたと思います。

「アイドルマスター」これまでの取り組み
「アイドルマスター」これまでの取り組み
初めての試みやブランドの立ち上がりを中心に主な出来事をまとめた

(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

(写真/志田彩香)

※後編「人気ゲーム『アイマス』 ユーザーに役割を負わせたのが成功の鍵」に続きます。

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