10周年を迎える花王の50~60代向けオーラルケアブランド「ディープクリーン」が、市場に革命をもたらすか。入れ歯洗浄剤は錠剤が主流だが、手間や時間がかかることがネック。そこで、泡を吹き付け短時間置くだけで臭いや汚れを取り除き、99.9%という高い除菌効果も発揮する剤形を開発した。

2020年10月3日に発売する「ディープクリーン シュッシュデント」(想定価格 本体270ml:約900円、詰め替え215ml:約700円)
2020年10月3日に発売する「ディープクリーン シュッシュデント」(想定価格 本体270ml:約900円、詰め替え215ml:約700円)

入れ歯に直接「泡」を吹きかける

 花王が2020年10月3日に発売する「ディープクリーン シュッシュデント」は、入れ歯に直接泡を吹きかけ、5分置いて水ですすぐ3ステップで、簡単に臭いや汚れを除去し、除菌もできる。

 現在、義歯(入れ歯)洗浄剤市場の主流は錠剤だ。錠剤を用いた一般的な洗浄方法は、ぬるま湯に錠剤を溶かして入れ歯を一定時間漬けた後、入れ歯自体をブラッシングしなければならない。花王によると、それでも汚れが取り切れていないことが分かったという。ぬめりが残るため自発的に長時間漬けたり、漬ける前にもブラッシングしたりするユーザーも多く、手間や時間がかかる。

 一方、最近の歯科治療ではなるべく自前の歯を残す方針が取られているため、高齢者の歯が増えているという。そのため部分入れ歯の利用者が多く、60代以降は特に利用率が高まる(平成28年度厚生労働省歯科疾患実態調査)。

 入れ歯利用者の8割に当たる約1200万人は洗浄剤を使用しており、主な目的は菌や臭い、ぬめりの除去だという。花王オーラルケアブランドマネジャーの野口真紀子氏は、「ぬめりの原因は、細菌と細胞外物質が合わさった“バイオフィルム”という菌の集合体。ぬめりが残れば菌が増殖し、臭いも発生する」と指摘する。

 従来の錠剤タイプは、漂白剤を水で溶かして入れ歯の表面から少しずつバイオフィルムを崩していくのに対し、ディープクリーン シュッシュデントは、泡でできた洗浄剤が入れ歯とバイオフィルムの間に入り込んで丸ごと剥がすため、短時間で高い効果を発揮するという。

 錠剤にも漬け時間5分をうたう製品はある。しかし小さな個装を開け、ぬるま湯を用意し、ブラッシングするといった手間の多い錠剤に比べ、泡ならシュッと吹きかけ、時間がくればすすぐだけ。従来は就寝前など夜間に洗浄する人も多かったが、これなら毎食後や外出前など気になるときに気軽にケアができるのも大きな利点だ。

ステップ1:直接泡をかける
ステップ1:直接泡をかける
ステップ2:5分置く
ステップ2:5分置く
ステップ3:水でそそぐ
ステップ3:水でそそぐ

 野口氏は「消費者調査では手軽さといつでも清潔でいられることへの喜びの声が多く聞かれた。幅広い洗浄・解析・包材技術と口腔(こうこう)研究の知見を持つ花王だからこそ実現できた」と、手応えを語る。

 今後はシニア層に向けて、「入れ歯洗浄はシュッシュしよう」といった新たな習慣に変えるよう促す広告や全額返金キャンペーンなど、マーケティングにも趣向を凝らす方針だ。

 ターゲット層である部分入れ歯利用者以外にも、総入れ歯やマウスピース、歯列矯正のリテーナーにも利用できるため、幅広い層からの反響も期待できる。

(写真提供/花王)