人間中心デザインを軸に、さまざまな分野でインパクトを創出してきたIDEOの日本拠点IDEO Tokyoが、コロナ後の「9つの新たな未来の兆し」を描いた。「Emergent Futures(新たな未来の兆し)」と名付けた一連のコンセプトだ。その目的と意図について、制作をリードしたメンバーの一人、岩下恵氏に聞いた。

「Emergent Futures(新たな未来の兆し)」は、アフターコロナの社会、ビジネス、生活を考えるきっかけになりそうだ
「Emergent Futures(新たな未来の兆し)」は、アフターコロナの社会、ビジネス、生活を考えるきっかけになりそうだ

コロナ後の世界にあり得る「9つの未来の兆し」

――「Emergent Futures」の「9つの未来の兆し」は、どのように考え出されたのですか?

岩下恵氏(以下、岩下氏) 発想の原点は、自分たちを含めた人の行動の変化です。IDEOメンバーが自分自身、家族、身の回りのコミュニティーの観察から始め、そこで見つけた「変化の兆し」を、コロナ後の未来へ向けた可能性を探求する出発点としました。また、人の観察の一方で、ビジネスや社会の中で起きつつある新しい動きからスペキュラティブな視点を得て、両方から9つのテーマを浮上させていきました。

 ご理解いただきたいのは、これは未来の予言でも、予測リポートでもないということです。報告書のように完結したものにはしたくないのです。そもそも、この一連のコンセプトをつくろうと考えたきっかけは、乱立する「コロナ後の未来予測」への違和感でした。

未来予測ではなく、新たな動きの「きっかけ」に

IDEO Tokyoが見いだした、アフターコロナの世界における9つの兆し
IDEO Tokyoが見いだした、アフターコロナの世界における9つの兆し

――確かに、「コロナ後の世界はこうなる」という発信をよく見かけるようになりましたね。

岩下氏 それを見て「IDEOが考えるなら、これじゃないよね」と思いました。私たちの目的は、新しい対話、新しい動きを起こすきっかけになることです。予言が当たるかどうか、それ自体の精度には価値を置いていません。

 あくまできっかけだからこそ、あえてきれいに整えず、できるだけカジュアルに、共有しやすくつくりました。ドキュメント形式はオンラインのGoogle Slidesで、誰でも自由にダウンロードしたり共有できたりするようにしています。内容も更新を続けていきます。

――100ページ以上あり、全部読み込むのは時間がかかりそうです。

岩下氏 全部を読んでもらう必要はありません。共有しやすいようにスライドプレゼンテーションの形にしていますが、全体を見せることが目的ではありませんから。一部分でも興味を持ってもらい、そこから会話やアクションが始まればよいと思っています。

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