コーセーのグループ企業コーセーコスメポート(東京・中央)がメンズ化粧品市場に本格参入する。メンズ化粧品のメインユーザーは20代後半~30代の若年層で、販路はECが主流。そこで価格帯を抑えた商品構成で、発売直後はECと一部直営店に絞って販売し、リピーターを増やしていく戦略をとる。

2020年9月1日にECで発売するコーセーコスメポート初のトータルスキンケアブランド「マニフィーク」
2020年9月1日にECで発売するコーセーコスメポート初のトータルスキンケアブランド「マニフィーク」

 2020年9月1日にデビューする「マニフィーク」は、コーセーコスメポート初の男性用トータルスキンケアブランド。メインターゲットはメンズ化粧品のボリュームゾーンである20代後半~30代で、日常的にスキンケア用品を使用している美意識の高い層だ。ターゲット層の購買行動を分析したところ、主な購入経路がECだったため、発売後しばらくはECと銀座にある直営店の「メゾンコーセー」のみで販売する。

 価格帯は1200~2500円と比較的安価に設定し、デパートコスメブランドは高くて使い続けられないという若い層でもリピートしやすくした。ベンチマークとする他社ECブランドのユーザーは、自分のライフスタイルや価値観に合わせてブランドを選択していることが多いため、マニフィークも明確な世界観を打ち出す。海洋性コラーゲンなど自然由来の成分を使用し、「大自然の恵み」をテーマに、他ブランドのユーザーへのリーチを図る。「グランピングやキャンプなど、ネーチャー(自然)に興味を持つ層が一定数いる。そういう人たちに刺さる」と、同社マーケティング本部戦略事業室長の野村靖氏は分析する。

コーセーコスメポートマーケティング本部戦略事業室長の野村靖氏は「若年層に『見られる意識』が高まっている」と分析する
コーセーコスメポートマーケティング本部戦略事業室長の野村靖氏は「若年層に『見られる意識』が高まっている」と分析する
洗顔から保湿まで女性と同じスキンケアステップを踏めるようラインを揃えた。若年層でも継続しやすい価格に設定した
洗顔から保湿まで女性と同じスキンケアステップを踏めるようラインを揃えた。若年層でも継続しやすい価格に設定した

ECサイトからの情報を得て開発

 近年、男性用化粧品市場は盛り上がりを見せている(参考記事:「資生堂の男性用BBクリームヒットの全貌 9カ月で38万個出荷」)。コーセーコスメポートもその動向を踏まえ、男性用化粧品の本格開発に着手した。「若年層を中心に自己投資の対象が変化している。自らをどう高めるかというより、身だしなみや清潔感など第三者からよく見られたいという思いが強くなっている。SNSの普及の影響が大きいのでは」と野村氏はみる。

 マニフィークの開発は19年6月にスタートした。「市場をリードするというより、市場の成長が軌道に乗ってから仕掛けようと考えた。ECを中心にマインドが醸成され根付き始めているというデータを基に開発を始めた」(野村氏)。

 数年前からAmazonや楽天市場などECサイトとの取り組みを強化しており、それらECサイトからビッグデータとともに「メンズ用化粧品市場は活気があり、さらに力を入れたい」との話もあったため、EC中心の販売を決断。その際、売り上げの動向からメーキャップよりもスキンケア商品に勝算があると判断した。

女性と同じスキンケアステップを提案

 これまで同社のメンズ向けスキンケアは「ソフティモ」の洗顔料と毛穴用パックのみだった。「百貨店で扱うような高級ブランドや一部ECブランド以外の男性用スキンケアは、とにかく皮脂汚れを落とすことに主眼を置いているものが多い」と、マーケティング本部戦略ブランド推進課長代理の西村講平氏は指摘する。

 一方で、マニフィークのターゲット層である美意識の高い若者たちは「きちんとスキンケアをしていることがかっこいい」と考えている人が多いという。そこでマニフィークでは、洗顔後の化粧水、乳液、保湿パックなどステップを踏んだスキンケア製品をそろえた。女性と同じスキンケアステップを提案し「きれいな肌を育てていこう」というメッセージを発信する。

 上記の通り比較的安価な価格設定のため、トータルでそろえやすいことも強みだという。ECでリピーターを増やしてブランドを定着させてから、「今売れている」とDSP(興味関心の高いユーザーにターゲットを絞り広告を配信する仕組み)を使って広告を打ち、マスへ拡大していく戦略だ。

マーケティング本部戦略ブランド推進課長代理の西村講平氏は、「従来の男性用スキンケアの主流は皮脂汚れを落とすこと」と、指摘する
マーケティング本部戦略ブランド推進課長代理の西村講平氏は、「従来の男性用スキンケアの主流は皮脂汚れを落とすこと」と、指摘する

 ECはじっくりと情報を精査しながら選べる強みがあるが、試す行為へのハードルは高い。その課題への対策としてトライアルキットを用意したり、女性のロイヤルユーザーが多く訪れる「メゾンコーセー」に現物を置いたりすることで、代理購買や男性への紹介を促す。今後は市場への浸透度を見ながら、販路の拡大も検討する。

(写真提供/コーセーコスメポート)

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