米EC企業eBay(イーベイ)は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって日本からの商品が遅延した際、日本の売り手を特別に“保護”するプログラムを提供した。日本の売り手から米国のECモール「eBay」への出品を増やす越境ECビジネスを強化しており、日本からの出品を従来以上に増やすのが狙いだ。

米国のECモール「eBay」のトップページ
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 新型コロナウイルス感染症の拡大で人々が外出を控えたため、インターネット経由でものを買えるEC市場は、世界中で拡大傾向を見せている。米国のECモール大手、eBayの場合、新型コロナウイルスの影響が如実に反映された2020年第2四半期(4~6月期)のマーケットプレース部門の売上高は、前年同期比29.7%増に当たる24億4700万ドル(約2570億円)に達している。

 実はこの急成長に、日本の売り手から米国のeBay向けに出品された商品の売り上げも貢献している。イーベイは新型コロナウイルス感染症の拡大を「災害」と位置付け、日本の売り手を特別に“保護”するプログラムを展開し、日本の売り手に対して出品を促し続けたのだ。

 具体的に何をしたのか──。

遅延による評価引き下げプログラムを停止

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、日本では、日本から米国向けの航空便が欠航になったり、国内では物流会社が従業員の勤務体制を見直したりして、通常時に比べて商品の配送が遅れ気味になった。通常のECモールでは、買い手の注文から24時間以内に配送しなかったり、買い手に商品が届く時期が遅れてサイトにクレームコメントなどが寄せられたり、そのクレームに対して数時間以内に回答せず、解決の努力をしなかったりすると、売り手の評価がぐんぐん下がり、サイトの掲示順などで不利益を被る仕組みになっている。eBayも同様で、こうした動きがあった場合に売り手の評価を自動的に引き下げるプログラムを導入済みだ。だが今回は新型コロナウイルス感染症のおかげで、売り手からすると、通常通りの手順で発送しているのに評価がどんどん下がってしまい、販売機会が低下してしまう。

売り手は管理画面で自らの評価を確認できる。ここでは「Above Standard(標準)」がそれに当たる
売り手は管理画面で自らの評価を確認できる。ここでは「Above Standard(標準)」がそれに当たる
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