ポストタピオカティーの最有力候補と目されるフルーツティーの人気ブランドが続々と日本上陸を果たしている。中でも中国の若者から圧倒的な支持を得ているのが、中国・深圳(セン)発のティードリンクブランド「奈雪(なゆき)の茶」。大阪・道頓堀に日本1号店を開業し、早くも人気を集めている。
お茶文化を若者世代に広める
インバウンドの急増で活況を呈した大阪ミナミの道頓堀が、コロナ禍に見舞われて約5カ月。街からにぎわいがなくなり、人影もまばらになった目抜き通りに2020年7月4日、「奈雪の茶」の日本1号店がオープンした。20年6月18日には総合免税店「ラオックス道頓堀店」がオープンし、奈雪の茶はその1階に入居。同ビルは以前、ファストファッションブランドとして人気を博した「フォーエバー21」が入居していたビルで、道頓堀の中でも超一等地だ。
店舗はガラス張りで、明るく、ぬくもりのある空間。ガラスウインドーには若い女性に受けそうな、カラフルな癒やし系キャラクターが描かれている。SNSでは流行に敏感な女性客の投稿が集客につながり、オープン初日は約600人が来店。以降、週末はテークアウトを中心に行列ができるほどの人気ぶりだ。
奈雪の茶は中国深圳発のティードリンクブランド。高品質な茶葉と季節のフルーツを掛け合わせたフルーツティーという新たなジャンルを開拓し、伝統的な中国茶のマーケットに風穴を開けた。
一番の特徴は茶葉へのこだわりだ。創業時に作り上げた自家茶園では、商品開発チームやお茶職人が世界中の茶園に足を運んで厳選した無添加、無香料の茶葉を栽培。オリジナルの茶葉は8時間の水出しが可能で、18年には台湾の茶葉コンテストで入賞した。
高品質なお茶のうまみと深みを若い世代にも味わってもらうため、無添加の新鮮な果実と掛け合わせたフルーツティーを開発。季節のフルーツを使い、年間を通じて多彩なラインアップを展開している。道頓堀店ではいちごのショートケーキから着想を得た「いちごチーズティー」(アイス880円、ホット850円、どちらも税別、以下同)や、オレンジ2個分の果汁が入った「奈雪オレンジジャスミン」(アイス750円、ホット720円)、カクテルのように仕上げた「スパークリンググレープフルーツローズマリー」(680円)など、ジャスミン茶ベースのあと口が爽やかなフルーツティーをそろえた。
「中国も日本も、お茶を飲む文化が廃れつつある。奈雪の茶がメインターゲットとしているのは20~40歳の女性。お茶文化の継承と新たなライフスタイルを提案し、お茶の魅力を発信していきたい」と、運営を手掛ける中国の品道(ピンダウ)日本法人の黄華文副社長は話す。
ブランドコンセプトは「一杯のお茶と一口のパンの幸せな出会い」。ティードリンクと好相性のスイーツとして、低脂肪、低糖にこだわったヘルシーなパンも主力商品として提供する。人工添加物を一切使用せず、独自製法で高加水パンに仕上げたパンは、小麦の風味があり、柔らかくもちもちした食感が特徴だ。ドリンク、パンともにインスタ映えを意識したビジュアルとヘルシー志向で、日本でもミレニアル世代の獲得を狙っている。