ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、YouTubeなどで動画を中心に活動するソーシャルクリエイターをサポートする新レーベル「Be」を始動、2020年6月にオーディションで選んだ31組を発表した。自社のリソースを活用し、クリエイターの価値の最大化を目指す。

すでに自身で動画を発信するクリエイター31 組と契約。知名度やチャンネル登録者数にかかわらず、今後の可能性を重視している
すでに自身で動画を発信するクリエイター31 組と契約。知名度やチャンネル登録者数にかかわらず、今後の可能性を重視している

 大手芸能事務所などがソーシャルクリエイターと契約するケースが増えるなか、SMEも彼らとタッグを組むプロジェクト「Be」を立ち上げた。2020年2月からクリエイターを募集し、約700組から選んだ31組を6月8日に発表した。

 なぜ、ソーシャルクリエイターを対象にするのか。「Be」プロジェクトリーダーでSME コーポレートビジネスマーケティンググループ マーケティングオフィス プロデューサー の三浦紹氏は、2つの理由を挙げる。

 「1つは、もはやメジャーやマイナーは関係なく、人を引きつける力を持った“個”がパワーを持つ時代だとういうこと。私自身が仮想ライブ空間『SHOWROOM』が立ち上げ直後に運営会社のディー・エヌ・エーに出向した際に感じたことです。その中で、SMEが何をすべきなのかと考えました。もう1つは、YouTubeやTwitterなどのSNSを中心に、テレビなどの既存メディアを中心に形成される現在の芸能界とは異なるエンターテインメントの生態系が生まれていることがあります。SMEもこの新しい動きと向き合っていかないと時代から取り残されてしまうと感じています」

 オーディションは、自分でYouTubeに動画配信チャンネルを持つクリエイターを対象にした。活動範囲をソニーミュージックが得意とする音楽系に絞るか、オールジャンルでいくか迷ったというが、結果的には後者を選んだ。現在のクリエイターの多様性をすくい取るため、ジャンルの枠を取り払わなければ不可能だと考えたからだ。結果、参加クリエイターの4分の3は、楽曲やダンスをカバーする「歌ってみた」や「踊ってみた」などの配信者を含めた音楽系。残りの4分の1は美容系や教育系、映画紹介系などとなった。選定基準は、Be側が面白いと感じるかどうか、純粋に活動をサポートしたいかどうかであり、チャンネル登録者数の多い少ないはほぼ考慮していない。

 クリエイターと「向き合う」ことにプライオリティーを置いてマネジメントエージェンシー的な形を採り、それをBeでは「ソーシャルクリエイターレーベル」と称している。「新しい人気者が集まる“チーム”を作りたいと思っています。Beという1つのエージェンシーの中に、様々なジャンルのクリエイターが集まっている。この形を音楽業界的に表現するとしたら“レーベル”と呼ぶのが一番ふさわしいのかなと思いました」。

SME コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス プロデューサー の三浦紹氏
SME コーポレートビジネスマーケティンググループマーケティングオフィス プロデューサー の三浦紹氏

 クリエイターに対し、Beはどのような形でサポートするのか。もともとクリエイターは企画・撮影・編集などを自ら手掛けて動画配信をしてきた。その中でスキルや経験が不足しているために“やりたくても、できていなかったこと”をヒアリングし、Beがサポートをする。例えばサムネイルを作るのが苦手ならそこを手伝うし、撮影許可を代わりに取ることもある。「歌ってみた」のオケ(伴奏)を作ることもある。内容はクリエイターによって様々だ。そのサポートを主に担うのはBeに携わる13人のメンバー。音楽や映像の企画・制作から宣伝、ライブ制作など、幅広いビジネスを手掛ける人材が集まるSMEの体制が強みを発揮する。

 「とにかく身近に様々なノウハウと実績を持っている人材がいるので、どんな案件でも相談できるのは心強いですね。『音源のクオリティーを上げたいから、ミックスできる人を探しているんだけど』とか『クリエイターをイラスト化したいけど、誰かかっこいいイラストを描けるデザイナー知ってる?』とか、電話1本メール1本で相談できますから」

 こうして動画のクオリティーを上げることは、個々のクリエイターの価値を高めることにつながる。その先にあるのは、もちろんビジネス面での展開だ。三浦氏は2つの方法を挙げた。1つは広告、もう1つが広告以外のC2Cである。

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