ピップ(大阪市)が磁気治療器「ピップエレキバン」の女性向け商品を強化。2020年3月に発売した20~30代の女性向け商品「ピップエレキバン 足裏バンド」は3~5月の売り上げが想定に対して1.5倍と好調。20年9月8日には女性が下着につける「ピップエレキバン インナークリップ」を発売する。高齢者に利用されてきたピップエレキバンを肩凝りなどで悩む働く女性向けに訴求して新市場開拓を狙う。

寝ている間などに利用する「ピップエレキバン 足裏バンド」。磁気部分が足裏にくるように装着する
寝ている間などに利用する「ピップエレキバン 足裏バンド」。磁気部分が足裏にくるように装着する

 ピップといえば、「ピップエレキバン!」というCMが思い浮かぶ人も多いだろう。近年、凝りケア市場には緩やかな成長傾向がみられるが、ロングセラー商品であるエレキバンは国内売り上げが横ばい傾向にあるという。そんななか、2020年3月に発売した初の女性向け商品であるピップエレキバン 足裏バンドで、これまで取れていなかった20~40代女性の新規客開拓に挑戦している。

20年3月に発売した「ピップエレキバン 足裏バンド」。ターゲットは20~30代の女性だ
20年3月に発売した「ピップエレキバン 足裏バンド」。ターゲットは20~30代の女性だ

 足裏バンドは、土踏まずの張りや足の冷えなど、ヒールやパンプスに付随する女性特有の問題に向けた商品で、低反発のクッション付き磁気バンドだ。室内でリラックスしているときや寝るときに使用する。もともとエレキバンを足裏に貼るという使い方をしている人も多く、ひと晩で効果が感じられるように大型の円すい磁石を使用し、指圧効果を得られるようにクッションをつけた。磁気による血行改善から冷えも解消するという。

 ピップの調査によると、外出自粛要請を受けてからテレワーク下での運動不足や血行不良により、2人に1人が足裏の凝りや張りを感じる傾向にあるという。20年5月単月の売り上げは目標比で128%、3~5月の売り上げは想定の約1.5倍となった。同社広報は「足裏の凝りがきっかけで足裏バンドを購入したお客様に、肩凝りの際はエレキバンを選んでもらえたら」と意欲を見せる。

ターゲットや訴求点を見直し

 ピップエレキバンはブランド認知率が9割と高いが、凝り対策でエレキバンを第一想起する人はまだ少ないことが課題。19年秋から組織改革(関連記事「ピップでブランドマネジャー制 売り上げ3倍目指す組織づくり」)とともに、ターゲットの見直しを始めた。これまでエレキバンのアピールポイントとしていた「凝りに効く」「血行改善」は十分周知されたと考え、進めたのが訴求点の具体化だ。

 「これまでは湿布や整体の代替アイテムとしてエレキバンを推していましたが、現在は枕などのように使い続けるアイテムとして周知したいと考えています。湿布や塗り薬の効果に満足していない層は当社調べで約5割。より自分に合うものをいろいろ試したいと思っている層が多いことも調査で分かりました」(ピップ 商品開発事業本部の木下絵美氏)

 整体や湿布に流れてしまう、体感や即効性を求めている層の第一想起率を高めるよりも、整体や湿布に満足していない人がいる点に着目。「行きたいときに行けない」「効果が一時的である」という点に、磁気療法で「貼るだけでじんわりと効く」というエレキバンの手軽さや半永久的効果を訴える。

 ただ、エレキバンの特徴である「貼っておくだけでじんわりと効く」「肩だけではなく全身に効く」という点は、温熱療法のアイテムと重なる。そのため、ピップは「悩みを根本から改善可能」という磁気療法のメリットを訴求する方針に転換した。

 新たにターゲットとするのは25~39歳女性。非購入理由として「古臭いイメージ」「使っているのを知られるのが恥ずかしい」が他の世代より特段高かったため、「ここを改革しなければ」と決めたという。

 ターゲット層を対象にした調査では、25~39歳女性の肩の凝りや張りの有訴率が70%以上あることも分かった。特に30代女性は妊娠や出産、仕事の再開などライフステージの変化が多く、肩こりの要因になっているという。

 「自分の時間を持つことができたら何がしたいか」という質問に対して、「疲れを取りたい」という人が約半数いたことも決め手だ。19年10月にターゲットペルソナを設定。仕事やプライベートなど、なんでも頑張ってしまう29歳会社員女性で、4月生まれなど細かい設定を加え、リアリティーを出した。過去のCMによる知名度で得た「頼りがいがある」「親しみやすい」といったカラーはそのまま、より「自然体」「目線や感覚が近い」といった「『頼ったら応えてくれる頼れるおねえさん』というイメージ」(木下氏)に寄せることにした。

ピップ 商品開発事業本部の木下絵美氏。ピップエレキバンを担当する
ピップ 商品開発事業本部の木下絵美氏。ピップエレキバンを担当する
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