ストーリーテリングが販促の鍵

 今後はモバイル向けサイトを中心に、InstagramなどのSNSも活用して、BITOKAおよびBeauty Bloomeeセットの認知度向上、利用者拡大を進めていく。

 ただ、化粧品は手に取ったときの香りや使用感が商品の評価を左右する。ECでは肝心のそれらが伝わりにくいのが課題だ。しかも、通販系化粧品市場には大手の競合企業が複数存在する。それら企業は、通販とリアル店舗を組み合わせて販売を拡大している。ECのみ、かつ後発のMOON-Xはどう市場を切り開いていくのか。

 これに対して長谷川氏は、「実物に触れてもらう商品棚がないのは確かに不利な面はある」と前置きしつつも「逆に商品棚という制限に縛られないのはメリットではないか」と持論を述べた。

 ECサイトはリアル店舗のように商品に直接触れることはできない。半面、テキストや画像、動画や利用者の口コミ投稿など商品の魅力を伝えるスペースは無尽蔵だ。また、スマートフォンが生活の中心にある現代では、個々の顧客がどこからでもアクセスできるウェブサイトこそが最も身近な販売チャネルとも言える。だからこそ「そこで開発の裏側や商品に込めた思い、科学的な根拠など、商品やブランドを取り巻くストーリーをいかに豊かに伝えられるか。ストーリーテリングの能力が最も重要になる」と長谷川氏は語った。

 もう一つ、MOON-Xが強みとするのが、顧客からフィードバックを得る仕組みだ。同社のクラフトビールブランドにおいても、購入者から細かなフィードバックを吸い上げ、商品の改良、開発に生かしている。例えば、CRAFT Xから発売されたクラフトビール「クリスタルIPA」は初回販売分を飲んだ顧客からの声を基に、その後の販売分のレシピや醸造方法を改良した。

MOON-Xが販売するクラフトビール「クリスタルIPA」。クラフトビールブランド「常陸野ネストビール」を製造・販売している木内酒造(茨城県那珂市)と共同開発した
MOON-Xが販売するクラフトビール「クリスタルIPA」。クラフトビールブランド「常陸野ネストビール」を製造・販売している木内酒造(茨城県那珂市)と共同開発した

 「化粧品は安全性などの問題があるので、ビールのように材料や成分を変えるのは難しいが、それでも顧客のフィードバックを生かす要素は大きい」と長谷川氏。例えば、使用感や香りの異なるバリエーション商品を出したり、ボトルやパッケージなどを改善したりといったことが考えられるだろう。「作り手と共に消費者の声に向き合い、より良い商品を出していくこと。化粧品分野でもこれに真っすぐ取り組みたい」と結んだ。

(写真/平野亜矢、写真提供/MOON-X、Crunch Style)


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