コロナ禍中で揺れる米国のデザイン学校やデザイン事務所では、リモートで授業や業務を行う例が格段に増えている。教員たちはリモート学習に役立つさまざまなツールを駆使して分かりやすい授業を工夫。リモート会議システムを使えば遠隔地にも顧客を持てる、という気づきを得たデザイン事務所もあった。

アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでイラストを教えるウィル・ウェストン氏の在宅セッティング。分かりやすいリモート授業のために工夫を施した (C)Will Weston
アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでイラストを教えるウィル・ウェストン氏の在宅セッティング。分かりやすいリモート授業のために工夫を施した (C)Will Weston

 例えばロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインは、2020年3月半ばの休校開始後の10日間に、教員向けにオンラインツールの使い方を集中トレーニング。プロダクトデザインを教えるバベット・ストロース氏によると、学生用に使ったのはミュラル(Mural)やミュロ(Muro)というITツール。作品を表示したり参加者でコラボレーションしたりでき、インデザイン(InDesign)などの他のアプリケーションにも取り込める。クラス全員が参加する授業にはズーム(Zoom)も使い、クイズを出したり発表順番を抽選で決めたりして遊びの要素を盛り込み、生徒の集中力を保たせた。

 同校で教員の能力向上を担当するサム・ホルツマン氏は、ズームに追加のカメラを導入する方法、照明やカメラの位置、記録方法など教員の細かな要望にも応じた。難しいのはスタジオでの実技で、「教室でなら伝わる身体的、文化的なヒントをどうデジタルで共有するかが課題」と語る。中にはスケッチをリアルタイムで見せるためのセットを自宅に作り上げた教員もいる。

ワコム製ITツール「シンティーク」のインタラクティブ・スクリーンの他に製図テーブルもセットし、最適なカメラ、照明、マイクを活用。手描きドローイングは授業前に録画しておいたほうがいいとウェストン氏は言う (C)Will Weston
ワコム製ITツール「シンティーク」のインタラクティブ・スクリーンの他に製図テーブルもセットし、最適なカメラ、照明、マイクを活用。手描きドローイングは授業前に録画しておいたほうがいいとウェストン氏は言う (C)Will Weston

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