世界61カ国に約1700店舗を展開するスポーツ用品チェーン「デカトロン」が、日本2号店をイオン幕張店(千葉県美浜区)の1階に出店。2020年5月22日から営業しており、店内には高機能・低価格と定評がある自社ブランドの商品がズラリと並ぶ。豊富な品ぞろえのなかから、おすすめの逸品を見ていこう。
100円均一に迫る驚きの低価格
JR東日本京葉線の海浜幕張駅から徒歩で5~6分、デカトロン幕張店はイオン幕張店の1階のほとんどを占めている。店舗面積は約2500平方メートル、そこに約40種類のスポーツに向けた商品4000モデル、約1万3000点を取りそろえているという。幕張店は2019年3月にオープンした西宮店に続く2号店だ。当初は20年4月オープンの予定だったが、新型コロナ感染症拡大の影響で5月22日に延期され、プレス向けの内覧会が実施されたのは7月に入ってから。その席でデカトロンジャパンのエリック・ギナール社長は「この店舗を訪れるすべての人に新しいスポーツとの出会いがあることを願っている」と、出店の意義を語った。
駅に近い方の出入り口から店内に入ると、すぐに目に入るのは「WELCOME DESK(ウエルカムデスク)」と呼ばれるレジ。そこで左を向けばデカトロンの製品が並ぶ。
店内はキャンプ&ハイキング、マリンスポーツ、フィットネスなどジャンルごとに9つのエリアに分かれる。ウエルカムデスクの手前で振り返ると、まずはランニング&ウオーキングエリアが広がる。そして、右手に見えるエスカレーターを越えて進むと、その向こう側は広大なデカトロンワールドだ。
そもそもデカトロンは、1976年にフランスのリールで設立されて以来、低価格・高機能を売りに成長してきたスポーツ用品チェーンだ。どの商品も価格を見ると「え?」となる。例えば、QUECHUA(ケシュア)ブランドのバックパックは驚きの390円(税込み、以下同)。FORCLAZ(フォルクラ)ブランドの2人用テントは9900円。
製品もスタッフのサービスも革新的
デカトロンの製品は価格が安いだけでなく、革新的でもある。なかでも面白いのは、マリンスポーツエリアにあったSUBEA(スベア)ブランドの「Easybreath(イージーブレス、4090円)」。これはフルフェースタイプのシュノーケリングマスクで、鼻から空気を吸って口から出す“自然な呼吸”ができるのが特徴。深く潜ってもシュノーケルに水が入ってこない構造になっているのもポイントだ。
また、ラケットスポーツエリアで発見したPERFLY(パーフライ)ブランドの「EASY NET 3m(イージーネット、4990円)」もユニークな製品と言える。ちょっとしたスペースがあればその場で楽しめるのがバドミントンの魅力だが、問題はネットの設置。ネットなしで遊んだ経験のある人は少なくないはずだ。しかしイージーネットを持っていれば高さ1.5m、幅3mのネットを1分もかからずに用意できてしまう。ネットを収納するケースに、ラケット2本とシャトルコック1個を収納するスペースがあるのもニクい。
各エリアには実際に商品を試せるスペースがあり、体験型商業施設としての一面も持つ。自分で試したり、スタッフに実演してもらったりもできる。しかも、各エリアに常駐するスタッフは、すべてそのスポーツの経験者だ。担当する商品がどのように使われるのか、実際にスポーツを体験していないと来客が満足するサービス、説明ができないという考えを基に接客面も工夫している。
デカトロンはダイバーシティーを重視しているため外国人のスタッフも多いが、全員日本語OKなので、分からないことがあれば遠慮なく聞いてみよう。スタッフが着用している名札は基本的に名字ではなく名前なので、親近感を持って声を掛けられるはずだ。
低価格のイメージがあるデカトロンだが、本格的な製品もある。例えばVAN-RYSEL(ヴァンリーゼル)ブランドのロードレース用自転車「CF CN 900」の価格は19万8800円。とはいえスタッフによれば、カーボンフレームでこの低価格は見かけないとのことだ。
またEVADICT(エバディクト)ブランドの「ULTRA 15L(8790円)」は、80~300kmという本格的なトレイルランニング用のバッグ。水分補給のためのウオーターブラダー(2L)も付いている。計5つのストラップでフィット感を調整できるので安定性は抜群。もはやバッグではなくウエアと言っていいレベルで、ウオーキングが趣味というギナール社長もお薦めしていた。
個人的に気になったのが、OXELO(オクセロ)ブランドの折り畳み式キックスケーター「Town9 EF V2(2万4900円)」。重量は6.4kgとやや重いが、平らなところの移動ならトロリーモードでキャリーバッグのように転がして持ち歩ける。
現状、日本ではデカトロン自体の知名度がそれほど高くない上、新型コロナ感染症流行の影響で客足も伸びていない。しかし、コストパフォーマンスの良さとブランドの革新性、サービスの質の高さが認知されれば、デカトロン幕張店は人気店の1つになりそうだ。
(写真/吉村 永)