東武鉄道の隅田川橋梁沿いの歩道橋「すみだリバーウォーク」と、とうきょうスカイツリー駅に至る鉄道高架下の商業施設「東京ミズマチ」が2020年6月にオープンした。浅草と東京スカイツリータウンを結ぶ動線をつくることで、観光客や地元住民の回遊を促す狙いがある。

隅田川橋梁に隣接して造られた歩道橋「すみだリバーウォーク」
隅田川橋梁に隣接して造られた歩道橋「すみだリバーウォーク」

 「すみだリバーウォーク」は、東武鉄道の浅草駅ととうきょうスカイツリー駅の間にある隅田川橋梁に隣接して造られた橋だ。20年6月18日に開通した。午前7時から午後10時まで解放され、徒歩で自由に渡ることができる。床面に隅田川を見下ろすのぞき窓があるほか、東京スカイツリー公式キャラクターの「ソラカラちゃん」のイラストが隠されているなど、遊び心あふれる趣向も凝らした 。鉄道の橋梁や東武鉄道の車両が走る様子を間近に見ることができるので、鉄道好きにも楽しめる。

すみだリバーウォークは約160m、幅2.5m。どこかにソラカラちゃんが隠れている
すみだリバーウォークは約160m、幅2.5m。どこかにソラカラちゃんが隠れている
走行する電車を間近で見られる
走行する電車を間近で見られる

 浅草方面からすみだリバーウォークを歩いて隅田川を渡ると、鉄道高架下にあるのが「東京ミズマチ」だ。ちょうど隅田公園と北十間川に挟まれた立地にある。このため東武鉄道は、東京都や墨田区と連携して整備をすることで、公園や川岸テラスとの一体感を演出したという。飲食店が中心のウエストゾーンと、宿泊施設やコンビニなどを含むイーストゾーンがあり、イーストゾーンは20年7月以降順次オープンの予定だ。

鉄道高架下にある東京ミズマチ。ウエストゾーンとイーストゾーンがある
鉄道高架下にある東京ミズマチ。ウエストゾーンとイーストゾーンがある
隅田公園、北十間川と一体的に整備し、近隣の住民やオフィスに勤める人の利用を見込む
隅田公園、北十間川と一体的に整備し、近隣の住民やオフィスに勤める人の利用を見込む
隅田公園と鉄道高架の間の道路は、以前は車が通行していたが、歩行者専用に変更された。東京ミズマチや北十間川沿いのテラスとスムーズに行き来できるようになり、一体感が生まれた
隅田公園と鉄道高架の間の道路は、以前は車が通行していたが、歩行者専用に変更された。東京ミズマチや北十間川沿いのテラスとスムーズに行き来できるようになり、一体感が生まれた

浅草と東京スカイツリーを結ぶ動線に

 同時開業となったすみだリバーウォークと東京ミズマチだが、当初は東京ミズマチのみをつくる計画だったという。すみだリバーウォークを造ったのは、浅草と東京スカイツリータウンの間の回遊を促すためだ。

 隅田川橋梁はもともと鉄道専用の橋梁だったため、これまで観光客や地元住民が浅草と東京スカイツリータウンの間を移動するためには、東武鉄道をひと駅だけ利用するか、遠回りして上流の言問橋や下流の吾妻橋を渡るしかなかった。すみだリバーウォークは、観光客や地元住民にとって徒歩で行き来できる便利な近道になる。

 東武鉄道広報部の藪圭介課長補佐は「東京ミズマチの計画を進めていくうちに、これだけでは東京スカイツリーからの回遊しか望めないと考えた。浅草方面からも訪れてもらうために歩道橋を造ることにした」と、すみだリバーウォークを造った経緯を語る。

 浅草と東京スカイツリータウンは、観光客がそれぞれ年間3000万人も訪れる人気観光地だ。しかし間を結ぶ動線が弱く、2つのエリアを行き来する人は多くなかったという。すみだリバーウォークによって人の行き来が活発になれば、双方の来訪者が増えることになりそうだ。

 当初、すみだリバーウォークと東京ミズマチはともに4月13日開業予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、6月開業となった。インバウンドなど遠方からの観光需要も回復の見込みが立っていない。東京スカイツリータウンには地元の買い物客も多く訪れることから、まず近隣の需要に応えつつ、徐々に観光客を取り込んでいきたい考えだ。

 ウエストゾーンでカジュアルダイニング「LAND_A」を運営しているバルニバービイートライズの井田大輔社長は、「観光の大きな需要はしばらく望めない。まず近隣で生活したり働いたりしている人々の需要を想定し、テークアウト用のショーケースを増設したり、周囲にスーパーマーケットが少ないことを考慮して野菜売り場を設置したりして対応していく」と語る。

「LAND_A」では、テークアウトに力を入れると同時に野菜売り場も設け、近隣住民の利用を見込む
「LAND_A」では、テークアウトに力を入れると同時に野菜売り場も設け、近隣住民の利用を見込む

 6月18日のオープン初日には、すみだリバーウォークに約200人の行列ができたという。2つのエリアを最短距離で結ぶ動線としての利便性をまず地元でアピールすることが、東京ミズマチににぎわいを呼ぶカギになりそうだ。

(写真/湯浅英夫)