全国小売店の販売データを集計する日経POS情報で、2020年6月の来店客千人当たり販売金額の前年同月比伸び率を調査した。コロナ禍で売れ行きが落ち込んでいたプレミアムアイス、スポーツ飲料が前年同月比でプラスに転じるなど、一部の品目で非日常から日常への回帰が見られる。
日経POS情報の食品ジャンルにおける20年6月の前年同月比伸び率上位は、1位「スピリッツ」(79.6%増)、2位「ケーキ・パン材料」(48.5%増)、3位「生クリーム」(44.1%増)、4位「リキュール」(44.0%増)、5位「中国酒」(42.6%増)、6位「プレミックス」(36.7%増)の順だった。
このトップ6カテゴリーは前月から不動のラインアップ。前月の20年5月も、1位はスピリッツ。以下、生クリーム、ケーキ・パン材料、プレミックス、中国酒、リキュールの順だった。緊急事態宣言が解除されても、東京都の感染者数が再び増加傾向にあることや、いわゆる「夜の街」クラスターが問題視されていることから、テレワークを継続する企業が多く、飲食店も夜は早めの閉店がまだ目立つ。そのため、コロナ禍のライフスタイルである家飲みやケーキづくりが継続し、ランキング上位に残り続けている格好だ。
もっとも前年同月比の増加率は落ち着きを見せている。20年5月の1位スピリッツは前年同月比199.7%増、ざっと3倍増でアルコール依存を心配するレベルだったが、20年6月は79.6%増。単月で見れば大幅増だが、前月よりは落ち着きを取り戻している。2位以下の食品も同様の傾向だ。
一方、コロナ禍で売れ行きが悪かった食品カテゴリーに目を転じると、一部に明るい変化が見られる。前年同月比マイナスが続いていた「プレミアムアイス」と「スポーツ飲料」が、20年6月はプラスに転じた。
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