コロナ禍により、セミナー、研修やカンファレンスをオンライン型で実施、提供する会社が増えている。会場まで足を運ばなくても参加できるオンラインセミナー(ウェビナー)は、“ニューノーマル”になりつつある。日経クロストレンドでは、この夏から秋にかけて開催されるもののうち、マーケティング系、ビジネス系を中心に注目したいオンラインセミナーをまとめた。

 コロナ禍で在宅勤務が増え、ZoomやWebex、Teamsといったビデオ会議システムを使って打ち合わせをする機会が増えた方は多いだろう。各人が動画で登場し、資料を共有して打ち合わせを進めることに対して抵抗感がなくなってきたのではないだろうか。

 こうした働き方の変化は、セミナーやカンファレンス、研修の世界にも広がってきており、オンラインで実施・提供する会社が急増している。今や、会場まで足を運ばなくても参加できるオンラインセミナーは、“ニューノーマル”になりつつある。ちなみに、オンラインセミナーは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語でウェビナー(Webinar)とも呼ばれている。

 主催者は参加者数を加味して会場を押さえる必要がないため会場費を抑制でき、受講者は移動の時間やコストを削減できるほか、チャットで講師に質問をしたり、講義資料を共有したり、録画を後日オンデマンドで視聴したりすることができる便利さを享受できるのが特徴だ。

 そこで日経クロストレンドでは、マーケティング系、ビジネス系を中心に、この夏から秋にかけて開催される予定のオンラインセミナー(受講可能なもので、展示会併設含む)をまとめてみた。各社は試行錯誤をしながら、新しいサービスの提供を始めている。

TGS、CEATECなど早々にオンライン開催を宣言した大規模展も

 オンラインセミナーを導入するパターンとしては、(1)リアルな対面型セミナーやカンファレンス(展示会の併設含む)をすべてオンライン型に切り替える、(2)従来開催してきたリアルな対面型セミナーやカンファレンスにオンライン型を組み合わせる、(3)初めからオンライン型でのみ開催する――の3種類に大別できる。最近では、会場を押さえる必要がなく、リアルな対面型に比べて手軽に開催できることから初めからオンラインで開催するセミナーが増えているようだ。

 すでにオンライン型での開催に切り替えることを発表した大規模イベントがある。例年、幕張メッセ(千葉県)で9月に開催されてきたTOKYO GAME SHOW(TGS)の主催者であるコンピュータエンターテインメント協会(CESA)は2020年6月末、TOKYO GAME SHOW 2020 ONLINEとして9月23日~27日に開催することを発表した。大手ゲームメーカーからインディーズまで様々なゲーム関連企業・団体が、新作タイトルや新サービスなどの情報を、公式チャンネルやWebページを通じて発表するほか、eスポーツ大会も配信。ゲームの最新トピックスが分かるオンライントークセッションなども実施する予定だ。

リアルな場からオンライン型に切り替えたTGS、CEATEC

リアルな場からオンライン型に切り替えたTOKYO GAME SHOW、CEATEC
リアルな場からオンライン型に切り替えたTOKYO GAME SHOW、CEATEC

 同様に、IT技術とエレクトロニクスの国際展示会であるCEATECも、完全にオンライン型に切り替え、10月20日~23日にCEATEC 2020 ONLINEとして開催する。スローガンは、CEATEC 2020‐Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)。オンライン画面上に展示コーナーとカンファレンスコーナーを設け、ニューノーマル テーマエリア、企業エリア、Co‐Creation PARK、公式イベントエリア、コンファレンスエリアで構成。キーノートや各セッションをLIVE放送する。

 NECが主催するプライベートフェアであるNEC iEXPOも、2020年はオンライン版(NEC iEXPO Digital 2020)として開催。6月のオープニングセッションに続いて、7月14日から17日までキーノートとテーマセッションを開催する。

 こうした傾向は海外でも同様だ。全米20カ所以上で開催されているDigital Summit。そのうちボストン開催のDigital Summit Bostonがオンライン版に移行しDigital Summit At Homeの一環として、7月14日~16日に開催されることになった。高度なメールマーケティング、DIYコンテンツマーケティング、SNS活用のノウハウなど、30以上のセッションが開催される。

 例年、リアルな対面型としてロサンゼルスで開催されてきたクリエーターの祭典Adobe Maxも2020年はオンラインでの開催となる。会期は7月19日~21日。経営陣やCreative Cloud製品のエバンジェリストによる講演やクリエーターによるトークセッション、新技術の発表を予定。プログラムの詳細は順次公開される。なお、Adobe MAX Japan 2020もオンラインで今秋開催することが発表されている。

 このほか、今秋ラスベガスでの開催が予定されていたOracle Open Worldは中止となったが、代わりにバーチャルイベントが予定されている(7月7日時点で詳細は未発表)。

 6月に日経クロストレンドで報じたようにリアルからバーチャルなオンライン型に切り替えたことによりリアルの4倍の集客を達成した米国企業も出てきている(参考:「大型イベントのオンライン化で4万人集客 米テック企業の運営術」。有効性が認められるに従って、オンライン型へのシフトは、なお一層進展するのではないだろうか。

リアルイベントでもオンライン視聴できることが当たり前に

 リアルな場を残しながら、オンライン型を併用する動きも国内外で加速している。従来、リアルなセミナーを提供してきた、例えば新社会システム総合研究所(東京・港)、船井総合研究所、シーエムシー・リサーチ(東京・千代田)をはじめとしたセミナー会社や調査・コンサルティング会社は、同じテーマをリアルとオンラインの両方で受講できるようにするか、テーマによってリアルかオンラインかを使い分けている。宣伝会議では、「デジタルマーケティング実践講座」をリアルな対面型とオンライン型で別々に提供している。

 10月に東京で開催されるアジア最大規模のマーケティング・イベントであるad:tech tokyoでは、公式セッションをアーカイブ視聴できる仕組みを提供する。

 ドイツのベルリンで毎年9月に開催されるコンシューマー・エレクトロニクスとホーム・アプライアンスの見本市IFAは、2020年についてはリアルな展示会を開催する予定だが、期間を短縮したうえで1日当たりの来場者数の上限を1000人に絞り、しかも招待制で開催される。そのため一般来場者は出向くことができない。そこで、一般向けにはオンラインで配信する予定である。

 シリコンバレーで9月にTechCrunch(運営はVerizon Media)が開催するDisrupt 2020では、投資家やスタートアップが参加し破壊的なテクノロジーとアイデアを発表しその素晴らしさを競い合うが、その模様はオンラインでも公開される。ただし、購入するパスが有料か無料かによって視聴できる範囲が異なる。

 ロンドンで10月に開催されるSocial Media Week Londonもリアルな場としての展示会とカンファレンスを開催する予定だが、オンラインで視聴できるサービスも提供する。オンライン視聴の場合は、別途、SMW Insiderというサービスのライセンスを購入する必要がある。オンライン視聴を追加の無料サービスとしてではなく別途契約が必要な有料サービスとして位置付けている。

 このように、リアルな場にオンライン型を組み合わせる方法は、今や当たり前になってきている。主催者ごとに提供形態が異なるが、リアルな場を提供してきた各社はオンライン型も提供しなければ来場者、受講者を満足させられない時代を迎えていると言えよう。

GAFAはオンライン提供が常態化

 GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)は、セミナーをオンラインで提供することが常態化している。

 Googleは、Google Cloudに関するテクノロジー・カンファレンス「Google Cloud Next’20:OnAir」を7月14日~9月8日の9週間にわたって全世界で同時に開催する。業界と洞察、生産性とコラボレーション、インフラ、セキュリティ、データ分析、データ管理とデータベース、アプリケーション・モダナイゼーション、クラウドAI、ビジネスアプリケーションプラットフォームなど、毎週テーマを変えて100を超えるセッションを提供する。基調講演には、Google Cloudを担当するトーマス・クリアンCEOが登壇する。

 Amazonは、米国ではオンラインで開催してきたAWS Summitを日本でもオンラインで提供することを決定した。アマゾン ウェブ サービス ジャパンが、従来の AWS Summit Tokyo/Osaka をすべてオンラインに切り替えて、9月8日~30日に開催する。実に150を超えるセッションが用意される予定だ。基調講演では、ヴァーナー・ボーガスAmazon最高技術責任者(CTO)が登壇する。

 フェイスブックは、Facebook上に広告を掲載する際のノウハウを提供するためのウェビナーを「THE WEBINAR SERIES」として提供している。3分野(THE ESSENTIALS、HANDS ON LEARNING、WHAT’S TRENDING)に関して、聴講したいものをサイトで登録しておくと開催スケジュールがメールで送られてくる仕組みだ。

 なおAppleは、年次イベントである世界開発者会議WWDC 2020を6月にオンライン型で開催済みだ。

“コロナ後の新たな世界”を題材にしたセミナーが多数

 今夏から秋にかけて開催されるオンラインセミナーのテーマとして注目したいのは、“コロナ後の新たな世界”をテーマにしたものが多いという点だ。前述したCEATECは「ニューノーマル社会と共に歩む」ことを掲げたが、各セミナーからも類似の傾向が見て取れる。

 羅列すると、「アフターコロナでデジタル変革する領域の未来」(7月16日開催)、「コロナ禍がモビリティ(MaaS)、エネルギー動向に及ぼす影響」(7月17日開催)、「5GとAIから見えるコロナ後の世界」(7月28日開催)、「アフターコロナにおけるLivestreaming Commerceの衝撃」(8月27日開催)、「ポストコロナ禍のキャッシュレス~2025年の業界地図~」(8月27日開催)、「With/Postコロナ時代のプライシング戦略」(9月2日開催)のように、タイトルにコロナ後の新たな世界をどう描いたらよいかを示すものが多い。

 タイトルには記されていなくても、コロナ禍で厳しい経営が続く中、IoT・ICTを活用してサービス品質を高め、少ない人数でも、業務負担を少なく運営できる体制を築いた介護老人ホームの例を取り上げる「IoTによる介護施設高収益化セミナー」(7月21日開催)。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いデジタルの潮流とリアルな現場の課題への対応が一気に押し寄せる小売り/サービス業を取り上げる「FUTURE OF RETAIL&SERVICE 2020」(第1回7月27日、第2回8月19日開催)など、どのセッションを取ってもコロナ禍の影響を無視できず、“コロナ後の新たな世界”を題材に据えたものが多いのが特徴だ。

 以下、マーケティング戦略に関する基礎的な知識を学ぶものやデジタルトランスフォーメーション(DX)に関するものなどを含めて、7月中旬以降、10月までに開催される、マーケティング系、ビジネス系を中心に注目したいオンラインセミナーを開催日順に紹介する。

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