ユニクロのグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO(ユニクロ トウキョウ)」が2020年6月19日、東京・銀座に開業した。国内では2014年以来の旗艦店オープンで、約5000平方メートルの売り場面積は日本最大級。銀座に2つの旗艦店を構えた背景に、集客力に対する自信がうかがえる。
旗艦店が2つあってもニーズは十分ある
「UNIQLO TOKYO」がオープンした6月19日は、全国のユニクロで長い行列ができた「エアリズムマスク」の発売日。場所は、有楽町駅にもほど近い「マロニエゲート銀座2」。トータルクリエイティブディレクターに佐藤可士和氏、インテリアとエクステリアのデザインチームには「プラダ・ブティック青山店」のデザインでも知られるスイスの建築家ユニット、ヘルツォーク&・ド・ムーロンを迎え、既存のコンクリートの骨組みを生かした地上4層の吹き抜けを出現させた。
既に銀座6丁目に旗艦店の1つである「銀座店」を出店しているユニクロだが、今回同じ銀座に“グローバル旗艦店”を出店したのには主に2つの理由がある。
まず銀座は国内外の観光客が数多く訪れる国内有数のショッピング街であるということ。「2つの旗艦店があっても、多くの人が足を運んでくれる銀座では、十分ニーズがあると判断した」(ファーストリテイリングコーポレート広報部)。
もう1つの理由が、UNIQLO TOKYOと隣接する有楽町エリアの再開発が進んでいることだ。銀座~有楽町~東京駅という人の流れの増加をにらんでの出店でもあるという。
施設全体のコンセプトは、「LifeWearのすべてをここに」。ユニクロの服作りのコンセプトである「LifeWear」を深く知るための展示や企画が各階で充実している。例えばアンディ・ウォーホルなど、過去のコラボアーティストのTシャツや書籍などを展示するスペースも用意した。また同社が長年続けているサステナビリティー(持続可能性)への取り組みも、広い面積を使って紹介している。
特に4階にはユニクロのTシャツブランド「UT」のアーカイブスペースを設置し、02年からスタートしたTシャツ商品や、コラボアーティストの歴史などを紹介。販売中のUTの全商品、約1000点を販売する豊富な品ぞろえと併せて、国内最大級のグローバル旗艦店ならではといえる。
独占販売(オンラインでは購入可)の「Theory(セオリー)」とのオープン記念スペシャルコラボもUNIQLO TOKYOオープンの目玉の1つ。ビジネスユースもできるコットンワンピースなどで大人需要に応える。
寝具や子供コーナーも充実
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が解禁されて間もない時期のオープン。その影響もあって、一部だが売り場の内容変更もあった。ファーストリテイリングコーポレート広報によると、ステイホーム需要に対応し、「部屋着や寝具などの生活関連商品の一部を、目立つ場所で紹介する」などの変更が加えられたという。
大人の街、銀座を意識した売り場も目立つ。世界で1つのオリジナルTシャツが作れるサービス「UTme!」のエリアでは、銀座の地元人気店とコラボしたTシャツやグッズなどの他、銀座にある泰明幼稚園の園児や泰明小学校の生徒たちが描いたイラストで作った、子供用Tシャツも紹介されている。
ファミリー層もターゲットだ。4階のキッズ&ベビー売り場では、子供がお絵描きをしたり、絵本を読んだりできるライブラリーも用意されている。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による大幅な減収減益が予想されているファッション業界。ユニクロも例外ではないが、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は会見でこう意気込んだ。
「この店をきっかけに日本を元気にしたい」
(写真/福光 恵)