米アイロボットの日本法人アイロボットジャパン(東京・千代田)は2020年6月8日、ロボット掃除機「ルンバ」のサブスクリプションサービスを拡充した。利用できる機種を増やしたほか、2週間試せるコースも用意して「ロボットではきれいに掃除できない」と考えている層の取り込みも狙う。

アイロボットジャパンがサブスクリプションサービスをリニューアル。2つのプランを用意して世帯普及率アップを狙う
アイロボットジャパンがサブスクリプションサービスをリニューアル。2つのプランを用意して世帯普及率アップを狙う
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新プランは3年契約と2週間レンタルの2種類

 アイロボットジャパンが2020年6月8日に開始した「ロボットスマートプラン+(プラス)」は、同社が19年6月から展開してきた「ロボットスマートプラン」をリニューアルしたものだ。

 従来は月額制のサブスクリプションのみで、対象機種も「ルンバ641」「ルンバ980」「ルンバ i7+」の3機種に限られていた。また、契約から1年以内の解約・返品は不可となっており、利用者からは「(床拭きロボット)ブラーバをラインアップに加えてほしい」「解約・返品不可の期間が長過ぎる」といった不満も出ていたという。

 今回のリニューアルでアイロボットジャパンは、3年契約の「あんしん継続コース」と、短期レンタルの「おためし2週間コース」の2種類を用意した。「あんしん継続コース」は従来の3機種にブラーバなど5機種を追加したもので、最も安い「ルンバ 600シリーズ」「ブラーバジェット 250」ならそれぞれ月額980円(税別)で利用可能。解約・返品不可の期間も12カ月から6カ月に短縮した。

 また、新たに追加した「おためし2週間コース」は、3年契約という期間がハードルとなっている層に向けてのプラン。「ルンバ 600シリーズ」「ブラーバジェット 250」は1800円(税別)、最上位の「ルンバi7+」は4527円(税別)で利用できる。「あんしん継続コース」で先述した利用者の不満に応える一方で、「おためし2週間コース」でルンバ導入の間口を広げる戦略だ。

■ 新プランでは2つのコースを用意
■ 新プランでは2つのコースを用意
新プランでは「あんしん継続コース」をさらに利用しやすくし、短期レンタルの「おためし2週間コース」を追加した
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 マーケティング本部長の山田毅氏は、とにかく気軽に使ってもらえるように2週間のお試しコースを用意したと言う。「アイロボットジャパンには『ルンバパラドックス』という社内用語がある。使う前は『本当にきれいになるのか』『自分の生活に合うのか』と懐疑的な人が多い一方で、一度使用すると手放せなくなる人も多い。ルンバに対するイメージは使用前と使用後で大きく異なる」(山田氏)

 山田氏が言うようにルンバに対するイメージが変われば、それが継続利用にもつながる。そこでアイロボットジャパンでは、2週間のレンタル期間が終了した利用者に対して特典も用意した。レンタル期間終了後に「あんしん継続コース」へ移行した利用者、および同型の製品を公式オンラインストアで購入した利用者は、レンタル料相当のキャッシュバックを受けられるのだ。コース移行の場合はさらに、1カ月分の利用料が無料になる。

■ ロボット掃除機を買わない3大障壁
■ ロボット掃除機を買わない3大障壁
アイロボットジャパンによれば、ロボット掃除機を買わない理由は大きく3つ。「あんしん継続コース」は「価格が高い」という層、「おためし2週間コース」は「自分で掃除しないとキレイにならないのでは」と考えている層に向けてのプランだ(2019年2月19日、アイロボットジャパン新製品発表会より)
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 アイロボットジャパンでは、23年までにルンバの世帯普及率を10%に引き上げることを目標としている。同社の発表によれば、日本におけるルンバの世帯普及率は19年3月時点で5.1%だったが、旧プランで数千人の利用者を獲得したこともあり、20年5月時点では6.5%まで伸びたとのことだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で在宅時間が増えたことで、20年3月以降は「ルンバ i7」や「ブラーバ ジェット m6」といった高価格帯の製品の売り上げが伸びているという。アイロボットジャパンとしては、新プランでルンバ導入のハードルをさらに下げ、普及に拍車をかけたいところだ。

■ ロボットスマートプラン+の料金一覧
■ ロボットスマートプラン+の料金一覧
新プランの概要。全体で見ると「おためし2週間コース」のほうが割高になる
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(写真提供/アイロボットジャパン)