新型コロナウイルス対策として必需品となったマスク。梅雨、そして猛暑到来を前に、蒸れない「夏マスク」の需要も高まる。こうした動きを見越し、2020年5月以降、様々なメーカーが相次いで夏マスクを発売し始めた。6月19日にはユニクロも「エアリズムマスク」を発売。購入希望者が殺到した。

無印やミズノ…蒸れない夏マスクが続々登場 ユニクロも参戦(画像)

 使い捨ての不織布を使った一般的なマスクとは異なり、どれも自社の素材を活用した個性的な布製のマスクばかり。何度も洗えたり、夏の暑さでも蒸れずに心地よく装着できたりする、といった特徴を持つ。発売後すぐに完売するものもあるほどの人気だ。

 各メーカーがマスクの市場に参入する最大の理由は、コロナ禍における社会的な必要性のため。だが、マスクを通じて自社の存在感や素材の特徴をPRする絶好の機会と捉えている担当者も少なくない。「マスクの売れ行き以上に、当社のメッセージや素材の特徴が伝わったことに対する効果が大きかった」「マスクで当社の素材の良さを知ってもらい、今後は本業の売り上げにもつながればいい」といった声もある。ユニクロも「エアリズムマスク」を20年6月19日に発売。感染症の拡大を防ぐための「新しい生活様式」が進むにつれて、これからも個性派マスクが出てくるに違いない。

夏でも快適に過ごす

 「無印良品」を展開する良品計画は、5月から発売中のマスク「繰り返し使える」シリーズの夏向け商品を6月に発売した。無印良品のTシャツやパジャマを生産したときに出るオーガニックコットンの残布を再利用し、抗菌や防臭の加工をした。「サッカー織り」「ムラ糸天竺編み」「鹿の子編み」の3種類を用意している。

良品計画の「繰り返し使える」シリーズの夏向けの商品は「サッカー織り」「ムラ糸天竺編み」「鹿の子編み」の3種類がある。2枚組999円(税込み)
良品計画の「繰り返し使える」シリーズの夏向けの商品は「サッカー織り」「ムラ糸天竺編み」「鹿の子編み」の3種類がある。2枚組999円(税込み)

 中川政七商店(奈良市)は、Humming(京都市)が手掛けるガーゼのブランド「NADELL(ナデル)」とコラボしたマスク「オーガニックコットン立体3重ガーゼマスク NADELL×中川政七商店」を6月に発売した。オーガニックコットンのガーゼを3層に重ね、吸水性と肌当たりの良さを実現。汗をかいても蒸れにくく、軽くてさらりとした着け心地が続くようにしたという。マスクに直接スプレーして使える天然製油の芳香剤「天然精油マスクスプレー」も用意。さわやかな香りがマスク内を快適にしそうだ。

中川政七商店がガーゼブランド「NADELL」と開発した「オーガニックコットン立体3重ガーゼマスク NADELL×中川政七商店」(左)。大人用が2400円(税別)。マスクに直接スプレーして使える天然製油の芳香剤「天然精油マスクスプレー」(右)
中川政七商店がガーゼブランド「NADELL」と開発した「オーガニックコットン立体3重ガーゼマスク NADELL×中川政七商店」(左)。大人用が2400円(税別)。マスクに直接スプレーして使える天然製油の芳香剤「天然精油マスクスプレー」(右)

 ミズノは、水着の素材を採用した2万枚のマスク「マウスカバー」を5月に数量限定で発売したところ、すぐに完売。改めて発売する計画だ。

水着の素材を採用したミズノのマスク「マウスカバー」は伸縮性に優れる。935円(税込み)
水着の素材を採用したミズノのマスク「マウスカバー」は伸縮性に優れる。935円(税込み)

 IKEUCHI ORGANIC(愛媛県今治市)が5月に発売した「オーガニック CU+ マスクハンカチ」は、マスクにもなるタオルハンカチだ。オーガニックコットンと抗菌や消臭の効果がある銅糸を織り込んだ素材でタオルを作り、両サイドを折って付属のゴムひもを付ければ、マスクとしても使える。以前からコデラカプロン(新潟県三条市)と共同で銅糸による医療用タオルを開発しており、この素材を生かした。

IKEUCHI ORGANICの「オーガニックCU+ マスクハンカチ」は通常はタオルだが、ひもを付けるとマスクになる。1320円(税込み)。右は装着したところ。マスクとしても違和感がない
IKEUCHI ORGANICの「オーガニックCU+ マスクハンカチ」は通常はタオルだが、ひもを付けるとマスクになる。1320円(税込み)。右は装着したところ。マスクとしても違和感がない

 TBM(東京・中央)とBioworks(京都府相楽郡)は、環境に優しい素材のポリ乳酸の糸でマスク「Bio Face」を4月に開発・販売した。植物由来で分解性を持つ一方、繰り返し洗って使うこともできるという。TBMはコロナ禍に向けた社会貢献として「Bridge.」と呼ぶプロジェクトを5月に開始。第1弾として事業企画会社のティーアンドエス(東京・渋谷)や国連機関の国連人間居住計画アジア太平洋事務所などと連携し、10万枚の「Bio Face」を南米やアフリカなどの感染拡大地域に寄贈すると発表した。特設サイトやクラウドファンディングを通じ、同プロジェクトを支援するパートナーを募集している。

TBMとBioworksが環境に優しい素材のポリ乳酸で開発した「Bio Face」。右は装着したところ。繰り返し洗える他、肌触りも良いという。1500円(税別)
TBMとBioworksが環境に優しい素材のポリ乳酸で開発した「Bio Face」。右は装着したところ。繰り返し洗える他、肌触りも良いという。1500円(税別)

 テキスタイル専業メーカーのカジレーネ(石川県かほく市)は、キシリトール加工を施した「みんなの夏マスク」を5月に発売した。キシリトールがマスク内の汗や湿気で熱を吸収するため、夏でも着け心地がよい。

カジグループ の「みんなの夏マスク」はキシリトール加工しているため、装着するとひんやりする。大人用のM/Lサイズで1650円(税込み)
カジグループ の「みんなの夏マスク」はキシリトール加工しているため、装着するとひんやりする。大人用のM/Lサイズで1650円(税込み)

伝統工芸をマスクに

 福助(東京・渋谷)は5月、「足袋職人がつくったマスク」を発表した。同社の「福助足袋」にも使われている、しわになりにくく丈夫で乾きやすいポリエステル生地を使用。製造も足袋工場で行っている。無地の白色マスクに加え、表地にたくさんの「福助人形」をプリントしたタイプも用意。福助人形は幸せの象徴ともいわれ、一刻も早いコロナ禍の終息やマスク装着を少しでも楽しんでもらうことを願ってデザインした。既にストッキングの素材を使用したマスクを販売して好調だったので、第2弾として足袋をモチーフに開発した。

福助の「足袋職人がつくったマスク」は白色のマスクの他、福助のイラストをデザインしたマスク(税別で1200円)もある
福助の「足袋職人がつくったマスク」は白色のマスクの他、福助のイラストをデザインしたマスク(税別で1200円)もある

 ミツフジ(京都府精華町)は、抗菌や防臭の効果がある独自の銀めっき繊維を活用した「hamon AGマスク」を3月から発売していたが、夏向けの「100回洗える夏マスク/hamon AGマスク」を5月に発売した。従来品は銀めっき繊維のシートを入れるため2層構造だったが、銀めっき繊維を配合した専用糸「AG fit AQUA」を新開発。1層で薄くしながら、抗菌や防臭の効果を実現した。100回の洗濯にも耐えられるという。

ミツフジが夏向けに開発した「100回洗える夏マスク/hamon AGマスク」。右は装着したところ。新しい糸を開発した他、耳掛けの部分も新たにデザインし直した。3000円(税別)
ミツフジが夏向けに開発した「100回洗える夏マスク/hamon AGマスク」。右は装着したところ。新しい糸を開発した他、耳掛けの部分も新たにデザインし直した。3000円(税別)

 ジーンズを中心に販売する衣料品チェーン店のライトオンは5月、独自の「和紙デニム」を使った「デニムマスク」を販売した。和紙デニムは、縦糸がインディゴ染めをしたコットンで横糸が和紙糸で構成。同社のプライベートブランド「BACK NUMBER」の生地にも使われている。マスクの裏地には抗菌や防臭の効果や、触るとひんやりと感じる生地を採用。繰り返し手洗いすることもできる。

ライトオンの「和紙デニム」を使った「デニムマスク」。裏地には抗菌や防臭の効果や、触るとひんやりと感じる生地を使用しているので夏に向いている。1290円(税別)
ライトオンの「和紙デニム」を使った「デニムマスク」。裏地には抗菌や防臭の効果や、触るとひんやりと感じる生地を使用しているので夏に向いている。1290円(税別)

 岐阜県大垣市の伝統工芸品である升の製造・販売を手掛ける大橋量器は、ヒノキが香る「hinoki MASUKU」を5月から販売している。「深呼吸したくなるマスク」を狙ったという。

大橋量器はヒノキが香る「hinoki MASUKU」を販売している。左の写真はヒノキのシートをマスクに入れているところ。2300円(税別)。同社は升の製造・販売を手掛けるため、マスクのデザインにも升をあしらった
大橋量器はヒノキが香る「hinoki MASUKU」を販売している。左の写真はヒノキのシートをマスクに入れているところ。2300円(税別)。同社は升の製造・販売を手掛けるため、マスクのデザインにも升をあしらった

 地域活性化プロデュースを手掛けているChanois(シャノワ、東京・港)は、久留米絣(かすり)の池田絣工房(福岡県筑後市)と共同で、「藍染めガーゼ 快適サラサラマスク」シリーズを5月に開発した。久留米絣の産地活性化を目的とした共同プロジェクトの第1弾。SNSで公開したところ、大きな反響を呼んだため、正式に販売することにしたという。

Chanoisが久留米絣の池田絣工房と開発した「藍染めガーゼ 快適サラサラマスク」シリーズ。藍染めで作っているため、柄がそれぞれ異なるのも大きな特徴。2200円(税込み)
Chanoisが久留米絣の池田絣工房と開発した「藍染めガーゼ 快適サラサラマスク」シリーズ。藍染めで作っているため、柄がそれぞれ異なるのも大きな特徴。2200円(税込み)

(写真は各社のHPなどから)