新型コロナ禍で利用頻度が高まるビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」。Zoomはグリーンバックを使って背景を自由に変更できるのも人気の要因だ。そこでアパレルEC大手の「ZOZOTOWN」が、グリーンバック代わりになる緑色のTシャツを発売。好きな柄をシャツに投影できるようにした。

2020年5月22日に発売した「ZOZO GREENBACK TEE」2020円(税込み)。6月22日時点では完売で追加生産の予定はない
2020年5月22日に発売した「ZOZO GREENBACK TEE」2020円(税込み)。6月22日時点では完売で追加生産の予定はない

背景ではなく「Tシャツ」の柄がZoomで変化

 2020年5月22日に発売された「ZOZO GREENBACK TEE」は中央に商品名のロゴが入っただけのシンプルなTシャツ。グリーンバックと同じく緑色で、これを着てZoomでオンラインミーティングをすると、背景の代わりにTシャツに好きな静止画や動画が投影できる。いわば、バーチャル背景ならぬ“バーチャルTシャツ”だ。

 ZOZOTOWNの特設ページでは、Zoomのビデオ通話でグリーンバックを有効にしてTシャツのデザインを変更する方法の解説や、オリジナルのバーチャル素材を提供している。Zoomの背景変更と同じ要領で、自分の好きな画像を投影することもできる。発売時にSNSで話題になったこともあり、初回生産分は発売初日に完売。追加分も1週間で完売した。「このTシャツに限らず、ZOZOTOWNで扱っている他の緑色のTシャツでも同じように楽しめる」とZOZOコミュニケーションデザイン室広報ブロックの三原麻依子氏は話す。

「ZOZO GREENBACK TEE」を着用したZoomミーティングのイメージ。Tシャツの緑色がグリーンバックの代わりになり、静止画や動画などの好きな画像を投影できる
「ZOZO GREENBACK TEE」を着用したZoomミーティングのイメージ。Tシャツの緑色がグリーンバックの代わりになり、静止画や動画などの好きな画像を投影できる

採算度外視、「ファッションを楽しんでもらいたい」

 完売が続くほどの話題の商品だが、現在のところ追加生産の予定はないとのこと。今回の施策が売り上げを意識したものではないからだ。外出自粛が続くなか、ZOZOとしてアパレル業界を盛り上げることができないかと同社の社員たちがZoom上で話し合っていたところ、「背景の代わりにTシャツの絵柄が変わったら面白いのではないか」というアイデアが出てきた。グリーンバックの技術はさほど難しいものではないため、緑一色のTシャツさえあれば誰でも手軽に楽しめる。発案から商品化までは約1週間というスピード感で進んだという。

 特設サイトではあえて使用例は提案していない。「部署のミーティングやオンライン飲み会などのコミュニケーションはもちろん、自由な発想でファッションを楽しんでもらいたい。YouTubeで着用動画を公開している人や、自社の企業ロゴをTシャツに投影している人もいると聞いた」と三原氏。デザインやアイデア次第で、Zoom会議やZoom飲み会の話題を一気にさらってしまうかもしれない。

 今回の施策をきっかけに、ZOZOの商品を初めて購入した人もいたという。たとえ採算度外視であっても、外出自粛で購買意欲が落ちている人が多い状況で、アパレルECを訪れる機会をつくることができたのは大きかったのではないだろうか。

(写真提供/ZOZO)

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