婚活サービス大手のIBJは、「Zoom」を通じたオンラインお見合いを導入した。一般的な対面お見合いよりも次のステップへ進む割合が高く、2020年6月以降も継続している。結婚相談所は新型コロナウイルスの影響を受けた業態の1つだが、オンライン活用がお見合い件数の減少を食い止めた。

オンラインお見合いの方が次のステップに進みやすい(写真提供/IBJ)
オンラインお見合いの方が次のステップに進みやすい(写真提供/IBJ)

 新型コロナウイルス感染拡大局面では、飲食店やホテル、イベント、エンターテインメントなど、人が多く集まる「3密」環境になりやすい施設や興行が大きな影響を受けた。結婚式・披露宴を延期せざるを得なかった新婚カップルも多い。また、少人数であっても、近い距離で相対することが前提の業態も回避が進んだ。結婚に至る前のプロセスである「婚活」もその1つ。数十人の男女が集う婚活パーティーはもちろんのこと、初対面の男女が比較的至近距離で対話するお見合いも、新型コロナウイルスの影響を受けた。

 では、結婚相談所など婚活を支援する企業は、緊急事態宣言の解除をただ漫然と待っていたのかといえば、さにあらず。婚活サービス大手のIBJは、Zoomを使った「オンラインお見合い」のサポートを2020年3月から開始した。

 婚活会員がプロフィルを登録している同社のお見合いシステム上で気になる相手に「お見合い申し込み」を送り、承諾があれば、仲人が日程を調整のうえお見合いをするのがこれまでの流れだった。これをオンラインに置き換えたのが、オンラインお見合いだ。プロフィルシートにオンラインお見合いの可否を問う項目を設け、双方とも「可」で合意した場合にオンラインお見合いに進む。

 IBJが20年4月18~19日に直営の結婚相談所で実施したオンラインお見合い316件では、互いに好感を持って次のステップに進む「仮交際」の合意に至ったケースが50%に上った。その後も40%超の成功率が続いている。リアルで対面するお見合いの場合は30%ほどというから好成績だ。

 オンラインお見合いの成功率が高い理由をどう見るか。新型コロナウイルス感染拡大期でもオンラインで婚活を進める、結婚への意欲が高い会員が参加していた面はある。だが、それだけではない。

 「自宅というリラックスした場所でできるため、過度に緊張せず、自然体の自分を出せたこと。また、Zoomを通じてのお見合いなので、互いの話の内容に集中して、相手の人となりを把握しやすかったことが、高い成功率につながったと考えている」(IBJ広報)

 リアルのお見合いでは、身だしなみや立ち居振る舞いが最初に目について、会話に入る前に第一印象が固定化されやすい。ホテルのラウンジなど慣れない場所で行うお見合いは非日常的だが、在宅勤務中の会議や「オンライン飲み会」などと同じ環境のオンラインお見合いには日常の延長で臨めるため、会話が弾みやすかったようだ。オンラインお見合いは40分から1時間ほどで、1時間~90分の一般的なお見合いより短めであることも、「もう一度話してみたい」「次はリアルで会ってみたい」と次のステップに進む後押し材料になったようだ。

 20年5月はお見合い実施件数のうちオンラインが7割に上ったという。新型コロナ危機が一服した20年6月以降、通常のお見合いの代替手段として役目を果たしたオンラインお見合いはどうなるのか?

 「オンラインお見合いは今後も双方同意があれば選択できる。6月に入って通常のお見合いが増えてきたが、それでもオンラインお見合いを選ばれる方は多い」(IBJ広報)

 仮交際後しばらく直接会えなかったり遠距離だったりするカップルにとっても、オンライン対面できるツールは重宝する。IBJの結婚相談所京都店では、20年1月末に対面でのお見合いをして以降、新型コロナ感染拡大期に入って会えない日が続いたカップルの男性側が、LINEビデオ通話を介したオンラインプロポーズに踏み切って婚約に至った例があるという。オンライン婚活は、オンラインお見合いの成功率アップのみならず成婚者数も増やす強い味方になりそうだ。

■修正履歴
・IBJの従来型対面お見合いでは、会員からの要望がなければ仲人は立ち会わないため、「冒頭立ち会って」という記述を削除しました。[2020/6/18 13:30]


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