ミニチュアテーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO(スモールワールズ トーキョー)」が2020年6月11日、東京都江東区の有明にオープンした。最大の特徴は3Dスキャナーで制作した自分のフィギュアを展示できる「住民権付フィギュアプログラム」。“住民”獲得で安定収入を狙う。
第3新東京市、麻布十番……ミニチュアの世界に住む
SMALL WORLDS TOKYOは、総面積約8000平方メートルという屋内型としては世界最大級のミニチュア・テーマパーク。「エヴァンゲリオン 第3新東京市エリア」「美少女戦士セーラームーンエリア」など6つのエリアを用意し、最先端のテクノロジーを駆使した動くミニチュアがアピールポイントだ。
SMALL WORLDS TOKYOが特徴的なのは、その収益モデル。お金を払えば、来場者は目の前に広がる夢の世界の“住人”になれるのだ。いわば「ミニチュア世界の不動産化」である。
「住民権付フィギュアプログラム」の購入者は、80分の1サイズに縮小した自身のフィギュアを1年間限定でミニチュアの世界に設置できる。料金は「エヴァンゲリオン 第3新東京市エリア」の場合、大人は1万9800円(税込み、以下同。高校生以下は1万7600円)で、年間パスポート(9800円、高校生以下は7600円)と1人分の入場パスポート(2700円、高校生以下は1900円)が付く。他にも「美少女戦士セーラームーンエリア」の販売が始まるなど、熱烈なファンなら、これまで夢見るしかなかった「憧れのキャラクターと同じ世界に住む」という願いがかなうかもしれない。
今回の収益モデルについて運営会社SMALL WORLDS(東京・港)の近藤正拡氏は「入場料、飲食、物販、スポンサーまでは従来のテーマパークと全く同じ考え方。そこに個人参加型という要素を追加した。住民権付フィギュアプログラムが成功すれば、テーマパークのビジネスモデルが変わるかもしれない」と期待する。住民権付フィギュアプログラムは1年ごとに更新されるため、一定数の“住民”を確保できれば、天候などに左右されることもなく、毎年安定した収益が見込めるからだ。
「ミニチュアは不動産物件みたいなもの。ニーズがあるかどうかは別として、ミニチュアの世界で一軒家を所有して自分の名前で表札を出すこともできる」と近藤氏。実際、スポンサーであるプリマハムが広報車両「ウインナー号」のミニチュアを走らせていたり、関西国際空港を発着する飛行機の機体に日本航空が自社のロゴを入れたり、ミニチュアの世界観をうまく取り込んでプロモーションに活用している企業もある。
自作できる不動産を世界に展開
SMALL WORLDSには、SMALL WORLDS TOKYOのようなミニチュア・テーマパークを国内外へと展開する計画もある。21年にはSMALL WORLDS OKINAWAをオープンする予定で、その後は1年に1拠点を目標に中国など海外15カ所に進出するという。展示エリアにエヴァンゲリオンやセーラームーンを選んだのも「日本だけでなく、海外でも認知されているコンテンツ」(近藤氏)だからだ。
一定期間を過ぎた展示エリアは、新設する別のテーマパークに移送するという。その際は、SMALL WORLDS TOKYOの“空いた土地”に新しい展示エリアが追加される。ミニチュア・テーマパークの新規オープンが続き、展示エリアを循環させていけば、継続的なミニチュア制作の需要も発生するので、事業の持続的な成長が見込める。
ドイツ・ハンブルクの鉄道模型テーマパーク「ミニチュアワンダーランド」をはじめ、オランダのデン・ハーグにあるミニチュアタウン「マドローダム」、米ニューヨークのミニチュアワールド「ガリバーズゲート」など、ミニチュア・テーマパークは世界的にも注目されている。新型コロナウイルスの影響で開業が遅れた上、インバウンドの減少も懸念されるが、SMALL WORLDSは初年度の来場者数の目標を年間200万人に設定している。
(写真提供/SMALL WORLDS)