濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)が薩州濵田屋伝兵衛ブランドで展開する本格焼酎「薩州 赤兎馬」「薩州 呂布」「薩州 三國志」が2020年5月28日、人気ゲーム「三國志14」のゲーム内アイテムとして登場した。同社はゲームとのコラボで、消費者と商品ブランドの新たな接点の創出を狙う。
コーエーテクモゲームス(横浜市)の歴史シミュレーションゲーム「三國志」シリーズは、世界累計出荷本数が800万本を超える人気作。一方、同ゲームの最新版「三国志14」のダウンロードコンテンツ(DLC)となった「薩州 赤兎馬」「薩州 呂布」「薩州 三國志」は、薩州濵田屋伝兵衛ブランドの主力商品だ。今回のアイテム化は、コーエーテクモと濵田酒造のコラボレーション企画第2弾に当たる。
このコラボ企画が面白いのは、実在する商品がゲーム内アイテムになっている点だ。世界累計出荷数が26万本を超える「三國志14」のアイテムだけに、薩州濵田屋伝兵衛ブランドにとっては大きなプロモーション効果が期待できる。
今回のコラボ企画が成立した背景には、「東京国立博物館と九州国立博物館が2019年に特別展『三国志』を開催したことや、20年12月に大泉洋主演の映画『新解釈・三國志』の公開が予定されていることがなどがあった」と、濵田酒造マーケティング部広報宣伝課・川野修郎氏は説明する。三国志由来の「薩州 赤兎馬」を01年に、「薩州 呂布」を18年に発売している薩州濵田屋伝兵衛ブランドにとって、三国志ブームは大きなビジネスチャンスだったわけだ。
川野氏がコーエーテクモゲームスを訪問し、「三国志が盛り上がっている今こそコラボ企画をやりましょう」と持ちかけたのは19年の初め。20年はゲーム「三國志」発売35周年の節目に当たる年だ。ゲームメディア以外での作品露出で認知拡大を考えていたコーエーテクモゲームスとしても、この機を逃す手はない。三国志を通じて「焼酎とゲーム」という異色のコラボが成立し、コラボ企画第1弾「薩州 三國志」が20年4月に発売された。
第2弾のDLCについては「第2弾に向けて動き始めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大でイベントが次々と中止になった頃。そんななか、どうしたら本格焼酎の魅力を伝えられるか、方法を模索しているところだった」と川野氏。第1弾に向けての意見交換の中で出た「実在するアイテムがゲーム中に登場すると面白い」というアイデアが実現した形となった。
実際、コーエーテクモはオンライン海洋冒険ロールプレイングゲーム「大航海時代 Online」の中でサントリーのゲーム内広告を展開したり、ゲーム内のキャラクターが着用できる横浜DeNAベイスターズのユニホームをDLCとして配信したり、異業種とのコラボに積極的だ。
インターネット時代における企業の情報発信手段は、消費者のライフスタイルの多様化により、マスメディアやオウンドメディア、SNSなど多岐にわたる。そんななか、多くのユーザーが毎日のようにプレーするゲームコンテンツは接触頻度が高く、ゲーム内広告に注目している企業は多い。ゲームの世界観を壊さないことが前提にはなるものの、今後はゲームとコラボする商品が増えてくるはずだ。
(画像提供/濵田酒造、コーエーテクモゲームス)