2020年4月に発令された緊急事態宣言によって、テレワーク(在宅勤務)を導入した企業も多いが、SNS上では「この2カ月間で社内でのコミュニケーションがうまくいかなくなった」という声も聞く。20年5月25日、その理由と改善点を探るオンライン勉強会が開催された。

アフターコロナでも多くの企業がテレワークを継続するといわれているが…… ※画像はイメージ(写真提供/Shutterstock)
アフターコロナでも多くの企業がテレワークを継続するといわれているが…… ※画像はイメージ(写真提供/Shutterstock)

テレワークで「上司や部下、同僚の仕事ぶりが分からない」という声

 オンライン記者勉強会「withコロナで広がる“不寛容文化”」を主催したUnipos(ユニポス、東京・港)は、従業員同士が仕事の成果や感謝のメッセージとそれに伴うポイント(成果給に反映される)を送り合えるウェブサービスを提供している。勉強会には同社の斉藤知明社長と人材マネジメント論を専門とする学習院大学の守島基博教授、大企業の若手・中堅社員の有志団体「ONE JAPAN」共同代表の濱松誠氏が登壇した。

 ユニポスの斉藤社長は「(新型コロナウイルスの影響で)取引先の企業から組織課題に関する相談を受ける機会が増えたため、テレワークの実態を調査した」と話す。

 調査対象は全国のテレワークを実施している上場企業に勤務する管理職約330人と一般社員約550人。テレワークにおけるチームの課題を聞いたところ、「テレワーク開始前と比較して部下の仕事ぶりが分かりづらい」と答えた人が管理職全体の56.1%。「上司や同僚の様子が分かりづらい」と答えた人が一般社員の48.4%に及んだ。

「テレワーク開始前と比較して部下の仕事ぶりが分かりづらい」と答えた人は管理職全体の56.1%
「テレワーク開始前と比較して部下の仕事ぶりが分かりづらい」と答えた人は管理職全体の56.1%
「上司や同僚の様子が分かりづらい」と答えた人は一般社員の48.4%
「上司や同僚の様子が分かりづらい」と答えた人は一般社員の48.4%

 この回答を受けて、斉藤社長は「緊急事態宣言が解除された後も、テレワークとリアルの仕事が混在するという状況は続くだろう。テレワークのためにチャットツールやウェブ会議ツールを整備した企業は多いが、今後は社員同士のコミュニケーションなどのソフト面の課題への対策が求められるのではないか」と分析する。

管理職の4割が「部下の仕事に不満」

 また、調査では、管理職の部下に対する厳しい視点も目立った。「テレワーク開始後に部下の業務の進捗が甘いと感じるようになった」と答えた人は管理職全体の44%。「部下にやる気があるのかどうか不安に感じる」と答えた人も43%。つまり、管理職全体の約4割が、部下の仕事ぶりに何らかの不満を抱えているということだ。姿は見えないとはいえ、これまでと変わらずに日々やりとりしている相手に、なぜこうも不寛容になってしまうのか。

この記事は会員限定(無料)です。

この記事をいいね!する