新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)で発令された緊急事態宣言が2020年5月25日に全面解除となった。だが「第2波」の発生を警戒し、密閉・密集・密接の「3密」を防ぐ「新しい生活様式」がまだ求められる。こうした状況に対応するためAR(拡張現実)の「定規」など、さまざまな提案がデザイナーから出てきた。

「Keep Distance Ruler」は、ARでソーシャルディスタンスとして必要な2メートルを表示。動作には「iPhone X」以降の最新iOSを推奨している
「Keep Distance Ruler」は、ARでソーシャルディスタンスとして必要な2メートルを表示。動作には「iPhone X」以降の最新iOSを推奨している

 クリエイティブ集団のPARTY(東京・渋谷)は、ソーシャルディスタンス(社会的距離)として新型コロナ対策に求められる「2メートル」をiPhoneで簡単に測定できるARコンテンツ「Keep Distance Ruler」を開発。20年4月7日から公開している。

 iPhoneでKeep Distance Rulerのサイトにアクセスすれば、ソーシャルディスタンスとして必要な2メートルをARで表示し、どこでも計測することができる。スマホを自分の足元など地面に向けてかざすと、画面に表示される仮想の「定規」が実際の周囲の状況と重なるため、どれだけあればソーシャルディスタンスを保てるかが理解しやすくなる。スーパーマーケットへの買い物など、人が集まる場所に出かけるときに役立ちそうだ。

2メートルとは自分にとってどれくらいの距離なのか

 「ソーシャルディスタンスとして提唱されている2メートルとは自分にとってどれくらいの距離なのか、と疑問に思ったことが開発のきっかけだった」と開発を担当したPARTYの寺島圭佑アートディレクターは言う。

 ソーシャルディスタンスとして推奨される距離は日本では2メートルとされるが、海外では約6フィート(1.8メートル)とされる。海外での使用も視野に入れ、両方の数字を併記するようにした。使い方が一目で分かるように検証を繰り返し、現在のデザインになったという。公開までのスピードを短縮するため、開発や審査に時間がかかるアプリではなく、アップルのAR向けファイルフォーマットであるUSDZを採用。開発や検証の時間は約6時間だったという。動作には「iPhone X」以降の最新iOSを推奨している。

 「人は周囲のモノとの比較で距離感や奥行きを把握するので、場所が変わると距離感が分かりにくくなる。よく行く場所で一度このARを開き、ソーシャルディスタンスをしっかりと意識してみてほしい」(寺島氏)

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する