コロナ禍で外出自粛が続く中、企業はリモート技術を駆使した新たなビジネス戦略を模索している。アサヒビールは2020年4~5月にかけて、1000人が参加できる“オンライン飲み会”を4回にわたり開催。お笑いコンビ・三四郎、乃木坂46の秋元真夏らが参加した初回を体験して見えたオンラインイベントの問題点とは?
アサヒビールが開催したのは、「いいかも!オンライン飲み ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」と銘打った1000人のオンライン飲み会。米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのビデオ会議サービス「Zoom」を使用し、最大1000人が参加できる。2020年4月25日に開催した第1回には、抽選で選ばれた1000人のうち、約700人が参加した。
イベントの狙いは、大規模なオンライン飲み会を通じて「新しい飲みの方法」を提案することだ。それにより、「“一緒に飲む”ことで人と人をつなげられるという“ビール本来の価値”を伝達したい」と企画した。
モノからコトへの大転換を体現する取り組み
同社はくしくも20年に“モノからコトへ”事業方針を転換し、物性訴求が中心だったマーケティング戦略を、情緒に訴えてビールの飲用価値をアピールする施策に切り替えたばかりだ。低迷が続くビールの売り上げ回復を目指して、若年層の掘り起こしや新たな需要の創出に力を入れ始めている。
そんな折に新型コロナウイルスの感染が拡大。飲食店の営業自粛などで飲み会需要が減る中、少しでも状況を挽回しようと新技術を用いた大規模オンライン飲み会の開催に踏み切った。人と人との接触が制限される中でも、前述の事業方針の大転換を体現した形だ。
第1回の開催当日は、お笑いコンビの三四郎がMCを務め、乃木坂46の秋元真夏、イメージキャラクターの高田里穂が参加した。飲み会は午後6時にスタート。乾杯の後は、高田がおいしいビールの注ぎ方をレクチャーしたり、4択クイズに全員でチャレンジしたり、AR(拡張現実)を用いたエンターテインメントコンテンツを試してみたりと、約1時間の飲み会中にさまざまな仕掛けを用意していた。双方向性も重視しており、参加者が飲み会中にハッシュタグをつけてTwitterで発言すると、MCの三四郎がそれを読み上げる場面もあった。
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