日清食品は、有名ラーメン店の味を自宅やオフィスに直接届けるデリバリーサービス「RAMEN EX」を20年5月11日11時から開始する。「一風堂」「すみれ」「ますたに」「無鉄砲」と共同開発したラーメンをスマホ1つで注文できる。
注文は料理宅配サイト「UberEats」や「出前館」で受け、RAMEN EX専用に開発された麺とスープ、具材をセットにして配達する。それを電子レンジで加熱すれば、お店で食べるラーメンと変わらない本格的な味わいを手軽に楽しめるという。
RAMEN EX は、19 年 10 月に同社が設立した、食のイノベーションにチャレンジする社内組織 「NISSIN Beyond Food Lab」 が手掛ける新規事業の第1弾。しかし、なぜ新規事業としてデリバリー専門ラーメン店を選んだのか。「フードデリバリー市場は近年拡大を続けているが、ラーメンは商品の性質上、『麺が伸びる』『スープが冷める』といった課題により、デリバリー市場への参入が遅れていた。弊社の技術によってこれらの課題を解決できたことから、この事業への参入を決めた」(同社)。
スタート時は東京・西麻布を中心とした渋谷区、港区、千代田区、新宿区の一部を配達エリアとしてサービス提供を開始。メニューの第1弾は有名店4店舗(「一風堂」「すみれ」「ますたに」「無鉄砲」)とのコラボメニューに日清食品オリジナルの「豚天国」を加えたラインアップとなっている。価格はコラボメニュー4品(「一風堂監修 博多とんこつラーメン」「札幌濃厚味噌ラーメン(すみれ)」「背脂鶏ガラ醤油ラーメン(ますたに)」「とんこつラーメン(無鉄砲)」)が各税込み1080円、「豚天国ラーメン」が同1380円(いずれも配送手数料別)。
価格が有名店の店頭で食べるより高い印象だが、勝算はあるのか。「デリバリーのための包材や資材(容器やレンゲなど)が必要になることが、コストアップの主な要因。しかし、一般的なフードデリバリーの商品は店頭価格より2割程度アップするのが相場で、高いとは考えていない」(同)。将来的には店頭と同様に大盛りの注文やトッピングの追加などにも対応する予定だ。
5月中には配達エリアを東京都内で拡大する予定。5月中旬には大阪市内、6月中に福岡市内でもサービス開始を予定しており、提供エリアを順次拡大する。「現時点ではあくまでも実証実験の段階だが、20年度中に10 店舗程度の出店を目指している」(同)。メニューを共同開発するパートナー店舗も増やしていき、全国各地にある有名ラーメン店の味を提供する予定という。
日清食品が「ラーメン店」開業――。2019年9月の日経クロストレンドによるインタビューで安藤徳隆社長から飛び出した爆弾発言から約8カ月(詳しくは「日清『ラーメン店』開業へ 安藤社長『会社ごとぶっ潰すような挑戦』」)。その実態は実に意外なものだった。