スマートフォン位置分析のunerry(ウネリー、東京・千代田)は2020年5月7日、スーパーやドラッグストアなど店舗周辺の混雑具合を確認できるWebページを公開した。商業施設が来店客を分析するサービスの一部機能を使い、消費者が3密を避けて買い物ができるように情報提供する。
サービスの名称は「お買物混雑マップ Powered by Beacon Bank」。過去1週間の1時間ごとの混雑具合を「いつもより空いている」「通常程度」「通常より混雑」の3段階で表示する。東京都を中心とする全国約2万8000店舗の情報を参照できる。地図上でスーパーやドラッグストアなどの店舗を選択すると、曜日ごとの混雑状況を把握できる。利用料は無料。
緊急事態宣言が延長される中、スーパーやドラッグストアで買い物をする消費者が、情報を参照することで、混雑する時間を自主的に避けられるようにする。店舗の混雑状況は、スマホの全地球測位システム(GPS)による位置情報の履歴に基づき推計したもの。直近4週間の中で最も混雑している1時間あたりの人数と比べることで、3段階の基準を示しているという。
6000万人ユーザーの位置情報を分析
ウネリーは、クーポン配信、地図、Wi-Fi情報の案内などのアプリを利用している約6000万人のユーザーから許諾を得た上でスマホの位置情報を取得し、来店分析に活用するための事業者向け有料サービスを提供してきた。スマホが備えるGPSのデータのほか、提携した商業施設にBluetooth接続のビーコンを設置しており、建物内部の位置も把握できる。スーパーやコンビニ、飲食店、衣料品ブランド店など150万カ所にビーコンを設置している。
同社の有料サービスは、主に店舗を運営する事業者が対象。各曜日の時間ごとの来店者数の変化のほか、多数の来店者の性別年齢や職業などをAI(人工知能)が推定し、その集計データを参照できる。どのような道や交通手段を使っている人が多いか、そのほかに周囲のどの店を利用しているか、といった分析もできる。店舗が導入する際の初期費用は50万円から、月額費用は20万円から。
スマホの位置情報を使ったマーケティングとして、店舗を訪れた人へのアプリに広告を配信する事業も手がけている。スマホ固有の番号を軸としてスマホアプリ向けに情報を配信できる「モバイル広告ID」と呼ばれる仕組みを活用し、SNSのアプリに広告を配信する。
例えば、店内にビーコンを設置して来店を把握し「買い物の帰りに移動しているころにSNSに広告を配信するといった、Web上のリターゲティングと同様の広告配信が可能になる」(unerryの内山英俊社長)という点を強みとしている。
記事タイトルを「全国2万8000店の混雑状況を表示 スマホ位置情報で「3密」対策」から「お買い物混雑マップ スーパー・ドラッグストアの「3密」対策に」に変更しました[2020/5/19 17:00]