新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「緊急事態宣言」の対象が全国に拡大されて約2週間が経過したが、5月7日の全面解除は難しそうだ。ゴールデンウイークに出かけられず、先行きも不透明とあって、SNS上は荒れ気味。そこで注意すべき5カ条を挙げておきたい。

1都3県が共同で呼びかける「<a href="https://www.koho.metro.tokyo.lg.jp/diary/news/stay_home.html" target=_"blank">STAY HOME週間</a>」
1都3県が共同で呼びかける「STAY HOME週間
「新型コロナ炎上」対策 注意事項5カ条
(1)新型コロナ対策便乗商法はやめよう
(2)「3密」と解釈されかねない投稿は控えよう
(3)“正義警察”になるのはやめよう
(4)過度の楽観・悲観投稿は避けよう
(5)withコロナ、afterコロナにつながる投稿を

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「緊急事態宣言」の対象が全国に拡大された4月16日から2週間、先行して7都府県に発令された4月7日から約3週間、小池百合子都知事が「感染爆発の重大局面にある」として3月25日に外出自粛を要請してから1カ月あまり。そして、「ここ1、2週間が極めて重要な時期」だとして全国の小中高校などに臨時休校を要請した2月29日の安倍晋三首相会見から丸2カ月がたった。4月28日時点で感染爆発には至っていないものの、まだピークアウトにはほど遠い状況で、当初の想定以上に終息までに時間がかかりそうだ。

 そのため、人々の苛立ちがネット上で、特にTwitter上で爆発している。言葉尻を捉えては執拗(しつよう)にかみつき、相手を論破せんとする不毛な応酬が跡を絶たない。そんな引火しやすい状況下で日々ツイートする企業公式アカウントの「中の人」は、いつにも増して言動に注意が必要だ。

 ただでさえ在宅率が高く企業が休暇に入るゴールデンウイーク期間中は、炎上が起きやすい時期。キリンビバレッジ「午後の紅茶」のSNS企画「午後ティー女子」の炎上も、日大アメフト部の危険タックルが起きた試合も、2018年のゴールデンウイークの出来事だった。ステイホーム週間となった今年は、例年以上に在宅率が高い。SNS担当者のみならず、広告に携わるマーケターも、“新型コロナ炎上”を回避する必要がある。そこで注意事項5カ条を挙げておきたい。

(1)新型コロナ対策便乗商法はやめよう

 新型コロナウイルスの感染拡大初期には、「ビタミンCはコロナウイルスから体を守る」「新型コロナウイルスの予防にタンポポ茶」「ポリフェノールで新型コロナウイルス対策」「新型コロナウイルスはマイナスイオンで死滅します」「新型肺炎対策用ブレンド精油、体内に入り込む前に精油を使って防御」といったフレーズで効果をうたう健康食品や空気清浄機、アロマ商品が存在した。

消費者庁は、コロナ予防効果をうたう広告表示に注意を促している
消費者庁は、コロナ予防効果をうたう広告表示に注意を促している

 消費者庁はこうした予防効果を広告表示する事業者に対し、景品表示法(優良誤認表示)および健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から改善を要請し、消費者に対しても注意を促した。それでも、「新型コロナ予防に」などとは明記せず、あたかも感染予防になるかのように見せかける“におわせ”表記は依然として続いている。「消費者が誤認してくれればもうけもの」という考え方はいかにも危うい。小売店がメーカー側のうたい文句をそのまま流用、投稿すると、その意図はなくても、不安心理につけ込んだ販促フレーズと受け取られる恐れがある。

(2)「3密」と解釈されかねない投稿は控えよう

 4月26日放送の「サザエさん」で、磯野家のゴールデンウイークのお出かけ話が炎上したようだ。4月25日には、Twitterでの情報発信に定評のある熊谷俊人・千葉市長の「今朝は空いているうちに子供たちと公園でフリスビーなどをして遊びました。近接して遊ばない、遊具を触れた後は手洗いを行う、大人がしっかり見守った上で適度な運動を心がけましょう。」というツイートにまで批判が寄せられた。

 災害や社会不安に際して「こんなときに遊ぶ・楽しむなんて不謹慎だ」と八つ当たりする、いわゆる“自粛厨”がSNS上で暴れ回っている。これは2011年の東日本大震災直後にも見られた現象だ。相手にする必要はないとはいえ、批判のリプライがたくさん付けば心穏やかではいられない。「中の人」個人の個性を出す企業公式Twitterでは、「ジョギングで汗をかいてきた」より「ケーキが上手に焼けた」のほうが無難ではあろう。

(3)“正義警察”になるのはやめよう

 4月8日、「朝の山手線、乗客35%減どまり 接触8割減に現状遠く」という記事に対して、為末大氏が一言「出勤しちゃうんだ」とツイートしたところ、「世の中テレワークで完結する仕事ばかりじゃない」といった批判が寄せられた。在宅に切り替え可能な業務にもかかわらず変えない会社や上司をイメージしての投稿だったかもしれない。ただ、人は“自粛厨”に嫌悪感を抱きながらも、自分の価値観に合わないことに対しては一転して“自粛厨”のような言動をしがちなことは認識しておいたほうがいい。マーケターの仕事も比較的テレワークがしやすい内容だけに、注意が必要だ。他者・他社批判に解釈され得る投稿は、コロナ期でなくても避けておきたい。

(4)過度の楽観・悲観投稿は避けよう

 新型コロナの感染拡大に対してあまりに危機感の薄い楽観的な投稿をすれば批判の種になり得るが、かといって悲観一色の投稿もいただけない。そこに政府の対応批判が絡んでくると、感染者数が増えるたびにボルテージが上がり、伸びが鈍化するとおとなしい投稿になるため、あたかも被害拡大を待望しているかのように映る。何のために企業公式アカウントを運用しているのか、原点に立ち返って考えたい。

(5)withコロナ、afterコロナにつながる投稿を

 SNSユーザーが企業公式アカウントに求めているのは、素人のコロナ解説ではない。今は、やがて店舗の営業制限などが段階的に解除されていった際に、顧客に戻ってきてもらうためのエンゲージメント強化の時期だ。

 いち早く臨時休館を決めたサンリオピューロランドの公式Twitterは、オンライン会議用のキャラクター背景画像を配信したり、後ろ姿の写真からキャラクターを当てるクイズを出題したりと、毎日“お楽しみ”を提供している。上野動物園や葛西臨海水族園の公式Twitterも、休園中の動物・魚たちの様子を連日写真で伝えている

多くの人の心情を捉えたタニタのツイート
多くの人の心情を捉えたタニタのツイート

 タニタが4月5日に投稿した「体重計に乗ってみよう」ツイートは、リツイート1600件超、いいね!4400件超をたたき出した。ずっと家にいて運動不足が気になる人が大半を占める中、自社商品にまつわる投稿ネタが見事に刺さった格好だ。コロナ戦線の長期化が予想される今、「中の人」の企画力とユーモアに期待したい。