「串カツ田中」が野菜のテークアウト販売を始めた。「ドライブスルー八百屋」で注目を集めるフードサプライと協業し、新鮮な野菜を比較的安価に提供する。営業時間短縮を余儀なくされる厳しい状況で、テークアウトの拡大に活路を見いだす。

店の前で持ち帰り用の野菜を販売する「串カツ田中 世田谷店」(東京・世田谷)。新型コロナウイルスの影響で客数が減る中、イートイン以外の販路拡大に生き残りをかける
店の前で持ち帰り用の野菜を販売する「串カツ田中 世田谷店」(東京・世田谷)。新型コロナウイルスの影響で客数が減る中、イートイン以外の販路拡大に生き残りをかける

 串カツ田中ホールディングスは、2020年4月21日から串揚げ店「串カツ田中」の店頭で野菜セットのテークアウト販売を始めた。野菜セットは、外食向け青果卸のフードサプライ(東京・大田)から仕入れる。葉物や根菜など10種類ほどの盛り合わせで、内容は日によって変わる。価格は1620円(税込み)。「従業員の人件費分を確保できれば良いと考えて、利幅は薄くしている」(同社広報部)。そのため、野菜の種類が豊富で量が多いにもかかわらず、値ごろ感がある。

 野菜セットを販売するのは関東の41店舗で、店の前にテーブルを置いて串カツのセットや弁当と一緒に並べる。開始当日に世田谷店を取材したが、主婦や親子連れが自転車で来店し、野菜セットを購入していく様子が見られた。タマネギやジャガイモ、ニンジンなど日常的に使用する野菜をひとまとめに買えて便利なほか、新型コロナウイルスの感染リスクがある混雑したスーパーに足を運ばずに済むのもメリットだ。

 これまで同店のテークアウトでは、主力の串カツセットのほか、テークアウト専用の唐揚げ弁当などを販売してきた。串カツは、店の前に油を入れた鍋を置き、要望があれば揚げたてを提供する。家庭では時間と手間が掛かる揚げ物を敬遠する傾向があるため、揚げたてを購入できるテークアウトの利用者が増えている。冒頭の世田谷店のように人通りの多い立地の場合、テークアウトの販売がイートインを上回り、「売り上げは対前年比80%程度を維持できている」(広報部)という。今回、新鮮な野菜という商材を加えることで、店の認知を高めるとともに、串カツや弁当をついで買いする客を増やす狙いがある。さらにテークアウト販売の成功例を、他の店舗に横展開してこの状況を乗り越える支えにする。

テークアウトの商品は要望があれば、その場で揚げる
テークアウトの商品は要望があれば、その場で揚げる

 今回協業するフードサプライは、物流センターなどの広いスペースを使い、客の車にスタッフが野菜のセットを積み込む「ドライブスルー八百屋」を20年4月9日から開始した。客が遠方からも訪れるほどの人気で、当初東京・大田、千葉の2カ所のみだった売り場を、4月25日に大阪、静岡、北海道、東京・国立でオープンしたほか、福岡、愛知、神奈川、埼玉でも展開する計画だ。同社は外出自粛要請の影響で使用されなかった野菜を販売しており、串カツ田中を販路に加えることで、生産者の経営を下支えする狙いもある。

串カツ田中がテークアウト用に販売する「もったいない野菜セット」(1620円、税込み)
串カツ田中がテークアウト用に販売する「もったいない野菜セット」(1620円、税込み)
串カツや弁当も販売。テークアウトの売り上げが店の運営を支えている
串カツや弁当も販売。テークアウトの売り上げが店の運営を支えている
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