新型コロナウイルスの感染拡大を受け、物流スタートアップが買い物代行に乗り出すことを決めた。店舗名と買いたい商品を専用アプリで指定すれば、ドライバーが店に出向いて購入し宅配するサービスを、2020年4月27日から7都府県で始める。24時間いつでも注文でき、家具や大型家電にも対応。「置き配」も選べる。外出自粛により、人との接触を極力避けることが求められる緊急事態宣言下で、これまで培ってきた配送ネットワークを生かし、国民のライフラインを守る。
買い物代行を始めるのは、CBcloud(シービークラウド、東京・千代田)。2013年創業の物流ベンチャーで、運びたい人と届けたい人をマッチングする「PickGo(ピックゴー) 」というサービスを展開している。
PickGoは日本全国で企業間配送を担っており、1万5000人以上の個人事業主のドライバーが登録している。24時間365日、緊急の場合も配送を引き受け、依頼からドライバーのマッチングまで平均56秒、集荷まで最速30分、配送マッチング率は99.2%という実績を残してきた。
19年9月には佐川急便と軽貨物のチャーター運送で協業を開始し、ANAカーゴ(東京・港)とは羽田、成田、関西、新千歳、中部、伊丹、福岡の主要7空港と陸路をつなぐ「空陸一貫輸送サービス」を始めた。ソフトバンクと業務提携し、効率的な配送ルートや荷積みノウハウの提供、受領サインの電子化など、ITを活用して配送業務の自動化、効率化にも取り組んでいる。
「物流版ウーバー」ネットワーク生かす
全国に広がるこの配送ネットワークを生かして始めるのが個人向けの「PickGo 買い物代行」だ。専用アプリを通じて購入したい店と買い物リストを送付すると、配送可能な近隣のドライバーが表示され、顔写真とPickGoでの評価を参考に依頼するドライバーを決める仕組みである。
配送地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県と愛知県、大阪府、福岡県の全域。ネットスーパーとは異なり、配送地域内であれば購入店舗や店の所在地に制限はなく、ドラッグストアやホームセンター、コンビニエンスストア、飲食店のテイクアウトなど、ジャンルを問わず1度の注文で最大3店舗まで買い物先を指定できる。
例えば、食品や日用品と市販の医薬品といった買い回りも可能。軽貨物車両を使うため、家具や家電製品といった重くて大きな品物も配送できる。高齢だったり、子育てや家族の介護にかかりっきりだったり、体が不自由だったりと、外出自体が難しい人だけでなく、「医療従事者など、夜通しで働かないといけない方にも必要な商品を届けられる」と松本隆一CEO(最高経営責任者)は語る。
買い物リストの作成は簡単だ。アプリにAI(人工知能)を使った画像検索機能が搭載されており、キーワードを入力すれば、候補となる商品画像が自動的に表示される。あとは画像を選択し、数量、予算を決めるだけ。イオンとマツモトキヨシは連携店という扱いになっており、公式通販のデータを基に参考価格が算出される。
24時間いつでも注文でき、配達時間も24時間、1時間刻みで設定可能。通常便のほか、2時間以内に届ける「お急ぎ便」も選べる。配送完了後に、購入にかかった実費と代行料金(1店舗税込み550円~、2店舗同770円~、3店舗同990円~)、サービス利用料(実費と代行料金の合計金額の5%)を合算した金額がクレジットカードから引き落とされる。現金のやり取りは発生しない。「物流版のウーバー」といえるサービスだ。

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