新型コロナウイルスの感染拡大という厳しい状況のさなか、サイゼリヤの新業態「伊麺処(パスタドコ)」が東京・浅草にオープンした。スパゲティをメインに提供する店だが、サイゼリヤの目玉メニューもスパゲティだ。一体何が違うのか。担当者に話を聞いた。

「伊麺処」外観・浅草駅から徒歩1分の場所にある
「伊麺処」外観・浅草駅から徒歩1分の場所にある

サイゼリヤの新業態が浅草にオープン

 浅草にサイゼリヤの「伊麺処」がオープンしたのは20年2月26日。提供するメニューはスパゲティが中心で、タパスやワイン、コーヒー、スイーツなども扱っている。1号店の浅草店の席数は25。入り口のレジで注文し、自分で席を確保するという、一般的なファストフード店と同じスタイルだ。内装は「和と伊の融合」を意識し、壁面にある書道家が描いた「空」という書や、イタリア調の照明器具などが目を引く。

和と伊を融合したという、スタイリッシュな雰囲気の伊麺処店内
和と伊を融合したという、スタイリッシュな雰囲気の伊麺処店内

 ファミリーレストランの「サイゼリヤ」は首都圏に約500店舗、日本国内で約1100店舗を展開する。同店の売りもスパゲティなどイタリアンだが、競合しないのか。どのような狙いでスパゲティ主体の伊麺処を出店したのか。サイゼリヤ業態開発部課長の中田賢一氏に話を伺った。

 「ファミリーレストランの業態は店舗面積が50~60坪(約165~200平方メートル)ないとできない。そこで、その半分程度の広さで出店できる伊麺処を立ち上げた。伊麺処はサイゼリヤが出店できない地域を埋めていく役割を担っている」(中田氏)

 広さを抑えれば賃料は下がる。露出効果の高い人の集まる場所なら、少々賃料が高くても全体としての投資額はサイゼリヤに比べて抑えられる、という考えだ。

 客層もサイゼリヤとはやや異なる。ファミリーレストランの場合はオールターゲット。伊麺処もいずれそこを目指したいそうだが、オープン当初は30代くらいの女性やカップルが多かった。店の使われ方もファミリーレストランはゆっくり食事をする人が多いが、伊麺処は忙しいビジネスパーソンが手早く食事したり、買い物途中の休憩などにカフェとして利用されたりすることを想定している。

スパゲティに絞ったメニューの勝算は

 サイゼリヤの販売構成比の約10%はスパゲティだ。「それだけニーズがあるので、もっといろんな所でよりカジュアルに、サイゼリヤのスパゲティを食べていただきたい」と中田氏は話す。そうしたこともあり、伊麺処のメニューもサイゼリヤのスパゲティをベースに構成されている。例えば一番人気の「タラコソース(500円・税込み、以下同)」や、ベーシックな「トマトソース(650円)」「ミートソース(650円)」「カルボナーラ(650円)」などだ。今後は季節メニューも出していきたいという。

スパゲティをメインにした伊麺処のメニュー
スパゲティをメインにした伊麺処のメニュー

 だが、サイゼリヤの「タラコソースシシリー風」は399円。伊麺処の価格帯はサイゼリヤよりやや高めだ。「ハイクラスを狙っているわけではない」とのことだが、なぜこの価格設定にしたのか。

 「ファストフードでテークアウトもあるので、サイゼリヤの約半分の調理時間で提供できるようにしている。そのため伊麺処専用のソースや、この業態に特化したオペレーションを開発しており、そこを値段に反映させていただいている。一般的なスパゲティだと一皿1000円程度が多いが、本格的なスパゲティをより多くの人に食べていただける(抑えた)価格にしている」(中田氏)

 はじめにターゲットやコンセプトありきで価格設定をしたのではなく、「おいしく」「早く」という部分を追求した結果というわけだ。

一押しメニューのタラコソース
一押しメニューのタラコソース

 サイゼリヤは東京の港区、中央区、千代田区などのオフィス街を中心に「スパゲッティ マリアーノ」という、スパゲティのファストフードを5店舗展開している。そこで伊麺処のメニューをテスト的に提供したところ、これまでとは正反対の結果が出たという。

 「一番高額のローストビーフ&ミート(800円)が人気だった。立地が影響していると思うが、これまで行った実験では得られなかった結果」(中田氏)。また、「時間帯によってはカフェの利用が多いと予想していたが、食事で利用する人が多い」「テークアウトのニーズがある」などが分かったそうだ。これらの結果を今後の展開に反映させていくという。