楽天が海外ブランドの日本進出支援を強化する。2020年4月7日にECプラットフォーム事業のカナダ・ショッピファイと提携。ショッピファイが提供するECサイト運営サービス「Shopify」とECモール「楽天市場」を連携するツールの提供を始めた。100万超のShopify利用企業・ブランドを楽天市場に誘致し、価値向上を狙う。
楽天が提携したショッピファイは、誰でも簡単にECサイトを構築できるサービス。企業・ブランド向けにECサイトのデザイン、在庫管理、注文管理、顧客管理といったECサイト運営に必要な機能を安価に提供する。基本的なプランは月額29ドル(約3100円)で利用できる。
さらにタブレット端末で利用できるPOS(販売時点情報管理)システムを提供しており、実店舗とオンラインで統合的に売り上げや在庫を管理できるのが特徴だ。ショッピファイは自社のサービスをオムニチャネルプラットフォームと呼んでいる。一方、消費者向けには、サイトごとにクレジットカード情報を入力せずに決済できる決済代行サービス「Shop Pay」などを提供して利便性を高めている。
既に175カ国で100万超の企業・ブランドがShopifyを活用して、ECサイトを運営している。流通総額は1550億ドル(約16兆円)に達しており、「米アマゾン・ドット・コムに次ぐ規模だ」とShopify Japan(東京・渋谷)カントリーマネージャーのマーク・ワング氏は言う。
Shopifyの活用企業には、日本に展開していない小規模ブランドが多く含まれる。D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)と呼ばれる新興ブランドのECサイトの裏側にもShopifyはよく使われる。19年に日本進出を果たしたスニーカーのD2Cブランド「Allbirds」や、米国のモデルのカイリー・ジェンナーが手掛ける化粧品D2Cブランド「KYLIE COSMETICS」はShopifyを活用するD2Cブランドの代表例だ。
楽天はそうした海外の新興ブランドの取り込みを狙う。「Shopifyに出店する100万店舗の過半数は日本に進出していない北米の企業・ブランド。Shopifyとの提携により、そうした海外企業・ブランドの楽天市場出店を加速させたい」と楽天マーケットプレイス事業海外営業戦略部の藤屋俊介シニアマネージャーは言う。他のモールでは売られていない海外ブランドを誘致することで、市場の価値向上を狙う。
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